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俺のストレスはもう限界へと達していた。 言うまでもなく、ストレスの原因はSOS団団長涼宮ハルヒだ。 あいつはとんでもなく無理な注文を、なぜか俺にばかりしてくるのだ。なぜか、俺ばかりに。 でも、俺だって人間だ。それも至って普通な男子高校生だ。毎日そんな無理難題を突きつけられればストレスが溜まるもんだ。 たまに反抗してみれば壮絶ワガママ団長にしばかれるだけに留まらず、宇宙人未来人超能力者から冷たい目で見られ、そして批難されるのだ。 こんなの間違ってるだろ。 俺はハルヒに選ばれた人間?鍵?知るか! 俺はこんなの望んじゃいないんだよ!! ・・・いや、ハルヒだっていいところはある、それに、か・・・可愛い所だってあるさ、あぁ、そこは否定しない。 だがな、俺にはもうハルヒの機嫌取りやパシリは無理だ。限界だ。疲れちまったんだよ。 そうして俺は変わっちまったんだ。 自分でもびっくりするくらいにな。 さぁ、今日も一日が始まるわ!!なんてすがすがしい晴天なのかしら。 月曜日なのに、心なしかあたしはご機嫌だった。 最近、なんだか毎日が楽しくなってきた気がするのよ。 相変わらず不思議は降ってこないしどこにも落ちてないわ。でも、みくるちゃんが居て、有希が居て、古泉君が居て、・・・キョンが居る。 そんな毎日が楽しいのよ。例え平凡だったとしてもね。 まぁ、楽しいからといって満足しているわけではないのよ。まだまだ絶賛不思議捜索中よ! いつもの長いハイキングコースのような坂を登る。もうすぐ秋だって言うのに、暑いわ・・・。これが残暑ね。間違いなくあたしの敵だわ。 学校に着く頃にはもう汗だくになっていた。髪の毛が首周りにべたべたひっつく。もう、暑っ苦しい気持ち悪い。 そうだ、今日はポニーテールにしてみようかな・・・。 ・・・って何よ!何誤解してんのよ!べ、別にあいつがポニーテール萌えだからってわけじゃないんだからね!暑いからよ、バカ! 教室に入る前にトイレによって、髪の毛をくくる。・・・これでよし、と。 ・・・また、あの時みたいに「似合ってるぞ」なんて言ってくれたらいいなぁ・・・。ってバカバカ!どうでもいいのよあいつの言う事なんて! そんなことを色々考えながら教室の前に辿り着くと、アホの谷口がオロオロしながらドアの前に突っ立っていた。邪魔よ、アホ。 「何してんのよ。そこは人が通る場所なのよ?どきなさいよ、邪魔よ。」 「すっ涼宮!俺はお前を待っていたんだ!大変なんだよ、キョンが・・・」 「は?キョンがどうかしたって?」 あたしはそういいながら谷口を押しのけてドアを開けた。 そこには・・・ 「・・・アンタ、それ何のつもり?」 ワックスでツンツンに立てた髪の毛。第三ボタンまで開けられたワイシャツ。よれっとしたネクタイ。そしてパンツがはみ出るくらいに腰まで降ろされたズボン。 「まるでヤンキーじゃない!」 そう、キョンがまるでヤンキーになっていたのだ。ずん、とだらしなく椅子に座って大股を開いていたキョンは、あたしに気づき、鋭く睨む。 「なによ、なんなのよアンタ・・・」 キョンは黙ってあたしを睨んでいる。その視線があまりに鋭くて、あたしは一瞬怯む。・・・キョンはこんな怖い目であたしを見たりしない。 「何よ・・・!ふざけてんじゃないわよ、怒るわよ!」 あたしはいつものようにキョンのネクタイを引っ張って立ち上がらせようとした。すると、あたしがネクタイを掴むより早く、キョンによってその手は叩かれた。 「アンタなにすっ・・・」 「気安く触んじゃねぇ」 とても低く冷たい声でキョンは言う。あたしはぞっとする。気が付くと、クラス中の視線があたし達に集まっていた。重い沈黙だ。 「・・・な、何よ・・・アンタほんとにどうしちゃったっていうの・・・?冗談もほどほどにしないとあたしほんとに」 「うるせぇな」 キョンは視線を外しながら舌打ちをする。あたしは、ついにぷっつん。今度は叩かれないように、ものすごい速度でキョンの頬にビンタした。 するとキョンはものすごい勢いであたしを睨んできて、なんと隣の席の椅子を思い切り蹴飛ばした。大きな音を立てながら、椅子が机に激突し倒れる。 「きゃっ・・・」 キョンはガタン、と音を立てながら立ち上がる。そしてあたしを思い切り見下す。今すぐ殴られるんじゃないかと思うくらいにその目鋭く、あたしを拒絶していた。 しばらくあたしを睨むと、また舌打ちをしてキョンはどこかへ行ってしまった。 「・・・何・・・よ」 あんなのキョンじゃないわ。嘘よ。何なの?何があったっていうの?・・・あたしが何したって言うのよ・・・! 「す・・・涼宮・・・」 谷口が恐る恐るあたしの傍までやってくる。 「・・・うるさいわね!ほっといてよ!あんな奴もう知らないんだから!」 あたしは谷口を怒鳴りつけ、席へと座る。・・・わかってるわ、八つ当たりよ。 岡部が教室へと入ってくる。HRが終わると、1時間目が始まる。 キョンは戻ってこなかった。 休み時間、古泉君と有希があたしのところへやってきた。 「涼宮さん・・・キョン君の様子がおかしいようですが」 古泉君の顔にいつもの笑顔は無かった。そうね、こんな時でも古泉君が笑っていたら、さすがのあたしも怒るわよ。まぁそれも八つ当たりなんだけどさ。 「・・・あたしだってもうわけがわからないのよ!今日登校してきたらいきなりあいつがあぁなってて、あたしビックリして・・・。はじめ、あいつはあたしを無視したわ。 でもそのうちにキレだして・・・あたしを思い切り睨んできて・・・そんでこの椅子を蹴飛ばしたのよ。あたしに・・・このあたしにキョンが・・・」 「涼宮さん、落ち着いて・・・」 「もうわけがわからないわ!!」 あたしは勢いよく立ち上がり、机をバン、と叩く。 「古泉君、有希、2時間目さぼるわよ。あいつと話をしてきましょう。きっとあいつ病んでるのよ、心の病にかかっちゃったのよ。治してあげないといけないわね。」 「・・・屋上に居るはず」 有希がつぶやく。 「屋上?・・・そう、行きましょう。」 あたしは二人を連れて屋上へと向かった。 今のあいつが屋上へ行く理由くらい、考えなくてもわかったわ。あいつ何考えてるのよ、ほんと。見つかったら退学よ? ・・・それに・・・そんな体に悪いもの、キョンには吸ってほしくない・・・。 あたしは思い切り屋上のドアを開く。 そこには、案の定タバコを咥えたキョンが居た。音に気づき、だるそうにこちらを向く。そして、ペッとタンを吐く。どっからどう見てもヤンキーだわ。キョンのくせに。 「ねぇ・・・キョン、どうしちゃったのよ?」 キョンは答えない。 「・・・何があったの?ねぇ、話してよ」 キョンは答えない。そしてタバコをまた咥える。 「どうしていきなりそんなんになっちゃったのよ?何よ、わけがわからないじゃない」 キョンは答えない。短くなったタバコをコンクリートに押し付け、新しいタバコを取り出し、火をつけようとした。 「すっ、涼宮さん!」 気づいたらあたしは自分の上履きを飛ばして、キョンが火をつけようとしたタバコを吹っ飛ばした。うーん、我ながらナイスコントロール。 するとキョンは舌打ちをし、「ってーな!!」とあたしに怒鳴り、立ち上がった。 「何よ!!タバコなんか吸ってんじゃないわよ!!それかっこつけてるつもり?全然かっこよくないわ!!臭いし、寿命縮めるだけなのよ?わかってんの!?」 「・・・うるせぇよ」 キョンはゆっくりとこちらへ歩いてくる。あたしは怯まない。あたしを殴ろうっての?受けてたとうじゃない。 キョンが近づいてきたところで、かばうようにして古泉君があたしの前に出る。 「何があったのかはわかりませんが落ち着いてください。女性に、いや涼宮さんに手を出すようなことは許しません」 「・・・」 キョンはしばらく古泉君を睨んでいた。古泉君は怯まない。もちろんあたしも。 でも、キョンは古泉君を殴らないわ。・・・そう信じていた、信じたかったの。・・・あたしは。 するとキョンは拳を顔の横に振り上げた。古泉君は一瞬びくん、とする。しかし、その拳は古泉君の方にも、有希の方にも、ましてやあたしの方にも向けられず、そのまま壁へと打ち付けられた。 「キョン!」 キョンは何度も何度も壁を殴りつける。それも思い切り。5回くらい殴りつけたところで、壁に赤い物が付着した。それでも、キョンはやめない。 「やめなさいよ!!キョン!!」 あたしがキョンを止めようと動き出すと、それより先に古泉君がキョンの腕を取る。キョンはギロッと古泉君を睨んだかと思うと、舌打ちしそのまま屋上を出て行った。 「・・・キョン・・・」 あたしはしばらく放心状態だった。タバコを吸っていたのは、今ここで壁を殴っていたのは、間違いなくキョンだ。でもキョンじゃない。 あたしはその場に座り込む。2秒くらい間をおいて、古泉君も隣にしゃがみこみ、あたしの肩をポン、と優しく叩いてくれた。 ふと、さっきキョンが座り込んでいた方に目をやる。タバコの吸殻が積み重なっていた。結構な量だ。 ・・・何やってんのよあいつ。やめてよキョン。タバコなんか吸わないでよ、あたしより先に死んだら許さないんだからね・・・? あたしはどうしようもなく泣きたくなった。でも泣かなかった。 古泉君に慰めてもらいたいんじゃないの。 キョン・・・キョンの胸で思い切り泣きたいの。 いつもの優しいキョンの胸で・・・。 そう思いながら、あたしは結わいていた髪をほどいた。ばさり、という音がなぜか悲しかった。 俺は今、駅付近をうろついていた。いつも、SOS団の皆で歩いていた場所だ。・・・SOS団、ふざけた名前だな、ったく。思い出せば思い出すほど胃がきしむぐらいイラつくぜ。 そして、今の時刻は午前10時45分、俺は制服、そして平日である。あぁ、これがサボリというものだ。 俺は特にすることなんて無かった。学校に居るのがだるかったんだ。奴らと顔を合わせるのが特にな。 俺はその辺に腰を下ろし、タバコに火をつける。はっきり言って、俺は何でこんなもんを吸ってるのかわからない。おいしくない。まずい。臭い。そして無駄に高い。 全く・・・日頃ハルヒに奢らされ続けて金なんか無いって言うのにな。今週末の不思議探索パトロールのための金は残っているだろうか・・・って! 何考えてるんだ俺は。バカか。そんなものに参加するわけないだろうが。もう二度と文芸部室になんか行かないってのに。 俺はフーッと煙を吐く。そして火のついたタバコをじっと見つめ、そのままゆっくりと手の甲へと降ろす。 ジュッ、という音が聞こえたような気がした。思わず声が出そうになるくらい熱かった。熱い、というか痛かった。ギュッと握っていた拳が震えてきたところでタバコを離すと、 そこにはなんともグロテスクな丸が出来ていた。 俺はその火傷を見ていると、何だか冷静になることができた。・・・何をやっているんだろうね、俺は。 あの夜、とてつもなくイライラしていた。そしてハルヒの顔が浮かんだんだ。その時こう思った。あぁ俺はハルヒにイライラしているんだ。このイライラの原因はハルヒだと、そう思った。 そう思った瞬間止まらなくなった。イライラというものを通り越し、俺は吐き気さえ感じたんだ。 その後は・・・覚えてない。朝起きたら、まるで毎日こうしていたかのように髪の毛を立てて、ズボンを腰まで下げた。所謂腰パンだな。そして朝、タバコとライターを買って登校したんだ。銘柄?適当だ。 そんで周りの目がうざったいな、と思っていた頃にハルヒがやってきて・・・俺に怒鳴ってきやがった。無視してやろうと思ったが、なんでか知らないが、 あいつの声を聞いただけで頭が爆発しそうなほどイラっときたんだ。そして気が付いたら椅子を蹴飛ばしてた。 ハルヒの奴・・・怖がってたっけ。 そんでこれ以上ここに居たらまずいなと思って、屋上へ向かった。座り込んでボーっとしてたら、なんとなく朝に買ったタバコを思い出して吸ってみた。 最初は思いっきりむせたさ。苦しかった。でも、その苦しさの中に何か、快感のようなものを見つけた気がしたのさ。喫煙者がタバコをやめられない理由はこれなのだろうか。 まぁ今では俺も喫煙者なんだがな・・・。 そしたら、またハルヒがやってきやがったんだ。今度は古泉と長門も連れて。イライラ×3だ。 正直ハルヒの話なんて聞いちゃいなかった。まともに聞いてしまえば今度こそ殴っちまいそうな気がしたからな。でも、気づいたら上履きが飛んできて、俺のタバコが吹っ飛んだ。 それでまた、頭に血がのぼって、怒鳴ってv、殴ろうとして・・・。古泉が間に割り込んできた。それでも俺は冷静になれなくて、古泉を殴ろうとしちまったんだ。 俺は精一杯の理性で怒りの方向を変えた。壁を思いっきり殴ってやった。畜生。なにやってんだ俺は。心底そう思ったさ。 そして、俺を止める古泉にまた腹が立っちまってな。それで屋上を後にして、今に至るってわけだ。 ・・・思い出したら、またイライラしてきやがったぜ。どうやら俺は、痛みを感じていないと冷静にはなれないみたいだ。本当にどうしちまったんだろうな。 そう思いながら、もう一度タバコを手の甲に押し付ける。痛々しい痕ができたと思ったら、次は隣にそれを作った。 何度も、何度も、手に火傷を作った。もう手の甲に痛みは感じない。畜生。 そして俺は地面に拳を振り下ろす。とっくに止まっていた血が、また流れ出す。 コンクリートが赤く染まる。ついに手を振り下ろすことができなくなった。あぁ・・・真っ赤だ。滴る血がさっき作った根性焼きに染みやがる。 なんなんだろうな、どうしちまったんだろうな、俺・・・。ハルヒ・・・ハルヒ・・・ ・・・ハルヒ・・・? ・・・もうハルヒのことなんか、忘れちまいたい・・・そうしないと、俺、どうなっちまうんだろうな・・・。 時刻:2007/09/15/20 08 To:キョン Subject:無題 あんたとゆっくり話がしたい。 あたしはその夜、一通だけキョンにメールを送った。返事は、無い。 そして、一回だけ電話もした。でも、3コールくらいで切られたわ。 何度も新着メールを問い合わせたけど、やっぱりメールはこなかった。 なんなのよこれ。わけがわからないわよ。 今あたし、すごくキョンに会いたい。 もちろんあんなヤンキーみたいなキョンじゃなくて、いつものキョンに・・・。 明日になれば、元に戻ってればいいのに。 昨日はあんなにご機嫌だったのに。 今日はこんなにも暗い気分で坂を登っている。 昨日よりも長く、そして険しく感じるわ。そして、今日もすっごく暑いのね。 あたしにしては割とギリギリに学校に到着する。首周りがベタベタしたわ。それでも、今日はポニーにはしない。する必要なんて、ないもの。 教室のドアを開く。あたしのひとつ前の席を確認する。キョンは来ていない。ため息をつく。 教室はいつもと変わらずにぎやかだった。何にも変わらないわ。いつもどおり。 でもね、あたしには今、この教室が違う学校の違う教室に見えるのよ。 だってキョンが居ないんだもの。 キョンが学校に来たとしても・・・あたしが知ってるキョンじゃないの。 あたしが知ってるキョンは・・・――― そう、あたしのせいなのよ。 授業が始まって少し経つと、教室のドアが開く音がした。それまで顔を机に伏せていたあたしは、少しだけ期待しながら顔をあげたわ。 確かにそこに居たのはキョンだった。ドアを乱暴に閉めると、こちらへずかずかと歩いてくる。・・・ため息。 キョンが乱暴に椅子を引き、そこにずかっ、と座る。 ―――その時、あたしは確かに気づいた。 キョンの腕は生々しい火傷だらけだった。あれはきっと、根性焼きと呼ばれるものだったわ。そして、キョンの指の付け根は痛々しい瘡蓋だらけだった。昨日屋上で壁を殴っていたけど、 あの直後よりも確かに悪化していた。 ・・・キョン・・・。あたしはまた机に顔を伏せる。 やめてよ。何でそんなことするのよ。なんで自分を自分で傷つけるの?嫌よ、やめてよ。やめてよ。 キョンをそんな風に追いやったのは誰なのよ。出てきなさいよ。あたしがこらしめてやるんだか・・・あぁ、それはあたしだったんだ。 あたしは今見た物を一瞬でも忘れたくて、必死に目をつぶった。 俺は、なんとか今日は暴れずに済んだようだ。今、終わりを告げるチャイムが鳴った。 朝登校してきた時にハルヒの顔を見たら少しだけイラっとしたが、あいつは昨日と違って何も言ってこなかったから何もせずに済んだ。 椅子を引いたときに、少し手が痛んだ。昨日あれだけ痛めつけたんだからな。何やってんだか。 座って一息ついていた時に、後ろでハルヒが俺を呼んだような気がしたんだ。呼んだと言うか、俺のあだ名を呟いた・・・ような。 まぁ呼ばれたとしても振り向くつもりなどなかったがな。 俺は今日掃除当番だったが、掃除なんて当然するつもりはなかった。足早に教室を出て行く。 そのままボーッと足を進めていて、ハッとする。俺の足は無意識に部室棟へと向かっていた。 何やってんだ俺は・・・どこへ行くつもりだったっていうんだ?あぁ?文芸部室しかないじゃねーか・・・。 俺は方向転換をする。一刻も早くここを立ち去ろう。そうしなければ・・・ そう思ったが、もう時既に遅し。俺の後ろには、少し驚いたような顔をしたハルヒが立っていた。 なんていう気まずさだ。今までこんなに気まずいと思ったことがあっただろうか。いや、無いな。 俺達はしばらく顔を向き合わせたままでいたが、俺は我に帰り、急いでハルヒの横を過ぎ去ろうとする。 だが、ハルヒは俺の腕を掴んだ。 ハルヒが掴んだのは俺の怪我だらけの腕のほうだった。痛みが走る。よかった。痛みのおかげで俺はこいつを蹴飛ばさずに済んだようだ。 ハルヒは俺の腕を掴んだまま文芸部室へと入ると、ドアを閉め、そこに寄りかかる。文芸部室には誰も居ない。 まだ少しだけ腕は痛んでいる。よしそうだ。落ち着いてろ自分。とりあえずハルヒに手を出したりしちゃダメだ。 俺はしょうがなく、パイプ椅子へと腰を下ろす。意識もしていないのに俺は音を立てて椅子に座っていた。もう癖がついてしまったようだな。なんて必要の無い癖だ。 重い沈黙が流れていた。なんだ。俺は何抜け抜けとこいつに連れ去られて今ここに座っているのだ。 手を振り払えばよかったじゃないか。ハルヒを押しのけてここを出て行けばいいじゃないか。 でも、そうする気にもなれなかった。何故だろう。ここに居ると、すごく落ち着く・・・。 しばらくすると、ハルヒの息を吸う音が聞こえた。そして、大きく息を吐く。 「・・・キョン・・・無理やり連れてきて、ごめんね」 俺は耳を疑った。なんだ、なんなんだ、今こいつは何と言った?ごめんね、だと?なんで謝ったんだ、こいつ・・・ 「でも・・・どうしても聞いてほしいの。キョンはあたしの顔なんて見たくないかもしれないけど・・・あたしは・・・」 そこまで言うとハルヒは声を詰まらせた。まだだ、まだ大丈夫だ。俺の手にはまだ微かに痛みが残っている。冷静でいられる。 そして、ハルヒは続けた。 「・・・ごめんねキョン。全部あたしのせいよね。あたしがアンタに無理なことばっかり言って、迷惑かけて、嫌な思いばかりさせて・・・」 俺の心臓が高鳴り始めた。 「今日夢を見たの・・・アンタあたしに言ったわ。もう疲れたって・・・俺の気持ち、一度でも考えたことがあったのかって・・・」 「ハルヒ・・・」 俺は無意識にハルヒの名を呼んでいた。 「アンタの言うとおりなのよ・・・あたしはアンタの気持ち考えてやれてなかった・・・世界はあたしを中心に回ってると思い込んで、アンタの気持ちなんて考えずに・・・。 ごめんねキョン。疲れたよね、キョン。・・・アンタを疲れさせたあたしは、そうやって変わっちゃったアンタには何も・・・言えないわ。」 胸が痛い。ものすごく。張り裂けるほどに胸が痛い。 そしてハルヒは声の色を変えて、こう言った。 「でも・・・自分を・・・自分を傷つけることだけはやめて・・・やめてよ・・・あたしキョンが大切なの・・・大切なのよぉ・・・。 だからお願い・・・あたしを傷つけて。思う存分殴って。殴って。アンタをそうさせたのはあたしのせいなの・・・だから・・・だから・・・」 ハルヒは俺の肩を掴んで大声を出した。 「あたしを傷つけてよ!!殴ってよおおおおおおおおおおお!!!!」 ハルヒは叫んだかと思うと、大きな瞳からポロポロと涙を零し始めた。 気が付いたら、俺はハルヒを思い切り抱きしめていた。 もう腕の痛みなどとっくに消えていた。でも、今のこいつを見ていたら、こいつの話を聞いたら・・・胸がどうしようもなく痛んだ。痛いんだ。 「ハルヒ・・・すまん・・・俺どうかしちまったんだ・・・すまん・・・」 「・・・キョン・・・?」 俺は更に強く抱きしめる。 「お前の言葉で目が覚めた・・・違うよな・・・俺間違ってるよな・・・こんなこと・・・。 確かに俺はイライラしていた。ストレスが溜まってたのも事実だ。でもな・・・そんなイライラも吹き飛んじまうくらい、この毎日が俺は楽しかった。 朝比奈さんが居て、長門が居て、古泉が居て、・・・ハルヒが居る毎日が・・・。 俺は気が狂っちまったんだ。ただそれだけのことなんだ。お前のことを傷つけたくなんかないんだ・・・それなのに・・・すまん・・・」 「キョン・・・謝らないでよ・・・キョン・・・」 俺はゆっくりハルヒを離した。 「でもなハルヒ・・・俺はほんとに狂っちまったんだよ・・今はこうして・・・落ち着いていられるけど・・・ 痛みがないと・・・どっかが痛くないと俺はおかしくなるんだ・・・お前を・・・傷つけたくなんか無いのにお前を・・・ そして・・・こんな柄にもない格好して・・・タバコなんか吸って・・・でもそうしてないと壊れちまうんだ・・・俺・・・」 「・・・」 ハルヒは黙って俺の話を聞いてくれていた。もうハルヒは泣き止んでいるようだった。そしてしばらく沈黙が流れたかと思うと・・・ ハルヒの鉄拳が突然俺の頬に飛んできた。 「うおわっ!?」 「ふんっ・・・」 体制を崩す俺の頭上で、ハルヒが鼻で笑った。ハルヒの方を向きなおすと、なんとあいつは仁王立ちしてやがったんだ。 「・・・やっぱりね。やっぱりそうね。あんたは立派な病気よ!!心の病にかかってしまったのよ!!」 俺は唖然とした。さっきまでのハルヒはどこに行っちまった・・・? 「今のはあたしを心配させた罰よ、キョン!!あたしは今決めたわ。アンタをそういう状態にさせたのは確かにあたしのせいなの!だからね、キョン。 あたしは全力でアンタの病気を治してあげるわ!!必ずね!!」 ハルヒの指先がびしっと俺に向けられた。 ・・・やれやれ。なんつー女だ、こいつは。 しかし、俺は今のハルヒの言葉に希望を感じていた。 今の俺は腐っている。確かに、腐ってしまったきっかけはハルヒにあるのかもしれない。 でも、こうなってしまった俺を元に戻せるのは、ハルヒしかいない・・・そう思った。 こうして、ハルヒとSOS団による俺更正生活が始まった。
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熱い日差しが私の涼んでいる甘味処に設置された窓から突き刺さっており、耳障りな蝉の命をかけた大合唱が、店内へかすかに届いている。 「今年の夏は暑くなりそうだ」 涼宮さんあたりに頼めば少しは気温の上昇を抑えてくれそうだが、無理だろうね。 そんな当たり障りの無いことを思いながら、口腔内で堪能している餡蜜を飲み込む作業に没頭している。 女一人、甘味処で何をしているかと思うだろうが、ここの餡蜜は絶品なのさ。 中学時代、岡本さんに教えられて以来、私は事あるごとに、ここへ癒しを求めて来ている。 しかも本日は七夕感謝サービスデイ。浴衣を着てきた客限定で5%の割引が適用されるとホームページに書かれていた。 と言うわけで、本日は家から藍色の浴衣を引っ張りだし、お気に入りの餡蜜を堪能している。 「……ん?おお!佐々木じゃねーか」 舌が癒されている最中、店内に流れる静かなBGMをかき消して、キョンが声を張り上げている。 「店内ではお静かに。キョン」 「そいつはわりぃ。そこ、座っていいか?」 キョンの指が、カウンター席に座る僕の隣の席を指し示す。もちろん断る気も理由も無いので、数コンマで首肯した。 「意外だね。君がこんな情緒溢れる甘味処をリスペクトしているとは思わなかったよ」 「トゲのある言い方だな。つーか俺は旨けりゃ何でもいいんだが、母親がここの店の水ようかんが好きでな。 ぶっちゃけ、ただのおつかいだ」 ここの水ようかんか。キョンのお母様は見る目がある。メディアに露出してもおかしくない程に美味だが、店主の確固たるプライドが出演を拒否しているらしい。正に至高の職人魂である。 「そういうの悪くねえな」 そこまで言って、キョンは和服のウェイトレスに水ようかんを注文した。 「しかしいーな浴衣は。こういう熱い日だと特に」 キョンの若干の下心が混じった視線が、僕の首筋に集中している気がする。 「くっくっ。なんだいキョン?僕のうなじがそんなに気になるかい?」 僕は餡蜜の租借を一時的に中止し、椅子をクルリと回転させた。この助平め。そんな君には心拍数を上げる仕置きをしてあげよう。えーと、たしかヘアゴムがあったから…… 「ぐはっ!お、お前、それは俺が生粋のポニテリストだと知っててやっているのか?」 君がうなじに過度の性的興奮を覚えることと、アップした髪を嗜好していることは知っている。岡本さん情報だが。 「岡本っ。なんて妄言を佐々木に吹き込んだんだよ」 妄言ではないね。事実だし。 「そうだが……あ、できればそのままミニポニテでいてくれ。いてください。この暑い中おつかいに来た俺に一時でも清涼と癒しをくださいお願いします」 「やれやれ。もっとも君の頼みだ。断る理由は無いよ」 「親友」である君のね。 「なぁ、ところでその餡蜜旨そうだな」 僕のうなじを見るためか、カウンターに肘をつきながら横目で眺めるキョンの視線が、僕の餡蜜に止まった。 「ああ。とても美味さ」 素直な感想である。これを不味いなんて言う人間は、一体今までどれほどの美味しい甘味を食べてきたのか問いただしたい。 「一口くれ」 「へ?」 キョンの腕が、スリ師よりもすばやく伸び、僕が握るスプーンの手を掴み、 「おお。こいつはイケる」 一気に口元まで運んでしまった。 「あ……」 思わず普段より三割り増しほど甘い声が漏れたのは、餡蜜を食べていたからである。絶対。 「すまんすまん。あんまりにも旨そうだったからな。お、ようかん来た」 キョンは何事も無かったかのようにカウンター席から立ち上がり、水ようかんの入った紙袋を受け取り、言いやがった。 「ん?佐々木、頬が赤いぞ?日射病か?」 「……もう知らない!」 浴衣の中で真っ赤に彩られている脚が、勝手に女子トイレへと歩を進めた。 完
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イツ子「あの…」 キョン子「あー?」(カチャカチャ) イツ子「きょ、今日はその、いい天気ですね!」 キョン子「んー…」(カチャカチャ) イツ子「あ、あ、そういえばあの…、昨日のIQサプリ見ましたか?」 キョン子「そうだなー…」(カチャカチャ) イツ子(キョンくん、携帯から保守してばかりで遊んでくれない…くすん) キョン子「だから悪かったっつってんじゃねぇか」 イツ子「別に…僕は全然気にしてませんって言ってるじゃないですか…」 キョン「めっちゃ気にしてる顔じゃねぇかよ」 イツ子「…っ、だっ、だってだってキョンくん僕の話全然聞いてくれないし、返事も上の空だし、謝り方も横柄で全然本気じゃないっぽいし!」 キョン子「俺は真剣に謝ってやってるじゃねぇか!誰が横柄だ!」 イツ子「それですよ!だいたい『謝ってやってる』って言い方おかしいでしょう!?そういう所が横柄だって言ってるんですよ!」 キョン子「俺だって悪いと思ったからこうやって頭下げてるんじゃないか!お前のそういう細かい所ばっか気にするとこが気に食わないんだよ!」 イツ子「え…」 キョン子「あ…」 イツ子「そうですか…そんな風に思ってたんですね…ぅ…っ!」 キョン子「ちょ、な、泣くな古泉!今のはあれだ、勢いでつい…」 イツ子「勢い…でっ、ついっ、本当の事をいっ…、言っちゃ…った…れすね…?」 キョン子「そうそう、つい本音が…っていや違う!違うんだって!」 イツ子「ふえぇぇぇんっ…!」 キョン子「だから泣くなって!悪かった!俺が悪かったから!ほら泣き止め、な?」 イツ子「ふっ、ぅぅっ…」 キョン子「えと、ほら、今日泊まりに行ってやるから!もうお前の好きにしていいから!」 イツ子「ぇぐ…ほ、本当ですか…?」 キョン子「マジマジ!だからもう泣き止めって!」 イツ子「じゃ、じゃあ…玩具…使ってもいいですか?」 キョン子「いや…それは…ダm…」 イツ子「やっぱりキョンくんは僕の事愛してないんだあーっ!」 キョン子「ばっ…!泣きわめくな!わかった、もうこうなりゃ玩具だろうと何だろうと好きにしろ!」 イツ子「キョンくん…っ!嬉しい、愛してます!今日は寝かせません!」 キョン子「…あれ?そもそも何でこんな事になったんだ…?」 「お邪魔しまーす・・・」 昼間の喧嘩のあと、俺は半ば古泉に引きずられるように古泉宅まで連行された。 いつもは俺より非力なくせにどうしてこんなときばっかり怪力を発揮するのか。 おいこらちょっと見てみろ。力いっぱい握るから腕が赤くなってしまったじゃないか。 「すいません・・・。あ、でもあの、何か拘束痕みたいで素敵ですよ?」 ・・・すまん、それの何が素敵なのかよくわからんのだが。 恥じらいながら言うな!頬を染めるな!ちょっと怖いよお前! 「それであの・・・昼間の件なんですが・・・」 キタキタキターーーー!! 早速その話か。 まずい、何とか話を逸らさなければノーマルの世界から新しい世界へこんにちはしてしまう! 「そ、そういや今日はハルヒ達部室に来なかったな!」 「涼宮さんは朝比奈さんと長門さんを連れて新しいコスプレ衣装を買いに行ったそうですよ。 ああ、玩具の他にもコスプレプレイというのも素敵かもしれませんね・・・。今度おそろいの衣装を買いに行きましょうか?」 だめだ、逸らせない!食いついてくる! しかも新たな変態プレイまで提案してくるとは・・・完全に墓穴を掘ったか! いやでも待てよ?俺がコスプレしたりするのは断じて拒否だが、古泉のコスプレ姿はちょっと見たいかもしれん。 朝比奈さんが着ているようなメイド服も捨てがたいが、白衣の天使とかスッチーとか似合いそうじゃないか? 何気に普通のスーツとかも似合いそうだし、いっそ幼稚園生が着ているようなスモッグとかもよくないですか!? ・・・いかんいかん。自分の貞操の危機に何を妄想しているんだ。 でも実際こいつ顔はいいし体つきはエロイから何着ても似合うんだよなぁ。 「とりあえずですね、僕達は初心者ですので軽いロ・・・ローターから始めてみようと思うんです。 あ、あの、僕キョンくんのためにいろいろ買って準備してたんです! 僕達いつも触りあいっこくらいで・・・ナカ・・・とかも指入れるくらいですし・・・」 ええい言いにくくどもるくらいならしゃべるな!耳まで赤いぞお前!もじもじするな!かわいいんだよ! 「いずれはこちらでキョンくんとつながりたいとは思うのですが・・・それはまた次の機会ということで」 こちら、といいながら取り出したのは・・・取り出したのは・・・ちょ、何だこれwwwでかっwwww いやいや笑い事じゃない。まじでかいぞこれ。 棒状のいわゆるバイブみたいな形なんだが、バイブの先端みたいなのが両端についている。 どうやって使うのかよくわからんが、とりあえずお前みたいな美少女が恥らいながら、そしてうれしそうに手に取るシロモノではないことはよくわから。 俺としてはこいつがどんな顔してこういう道具を買ってきたのかがすごく気になる。 ちょっとその現場を見てみたいぞ。 「ではあの、早速はじめてみてもよろしいでしょうか?」 あああああやべえこいつ乗り気だ・・・。 確かに好きにしろとは言ったけど・・・。ええい!女は度胸!覚悟決めてやってやろうじゃねえか! どっからでもかかってこい! 覚悟を決めてベッドに座ると、おそるおそるといった感じで古泉が覆いかぶさってきた。 すでに上気しきった顔はいつもより色気が増していて俺まで顔が赤くなってくる。 するり、と制服のリボンを抜き去ると、そのまま服の上から胸を揉まれた。 「んっ」 「いつもながら・・・小ぶりでかわいいです・・・」 うるさい!お前それイヤミか! 朝比奈さんとまではいかなくともハルヒ以上はある古泉からしてみれば、俺の長門といい勝負なAカップなんてあってないようなものと同じだろうよ! 「でも・・・僕とこういう事をやりはじめてから・・・少し大きくなったんじゃありません?」 そ、そうか・・・?あまり自分じゃわからんもんだが・・・。 「それに肌もキレイで・・・感じやすいですよね?」 「あ・・・っ」 言いながら古泉の白い手が制服の裾から進入してきた。そのままブラまでたくしあげられて、直接胸に触られる。 手のひら全体でやんわり揉んできたかと思えばいきなり乳首を引っかかれ、その度に俺の体はびくびくと震えてしまう。 それだけじゃ物足りないのか、制服自体を鎖骨の辺りまでまくり上げられ、胸に吸い付いてくる。 「あっあっ・・・!や、舐めん・・・なっ・・・」 古泉のピンクの舌が俺の胸を這い回る。乳首の根元から先端にかけてねっとり舐め上げられると腰がジンジンと痺れた感じに襲われる。 古泉が顔を埋めている反対の胸では空いている古泉の手がやわやわと胸を揉みあげる。 だが乳首には触れないように周りだけを触られ、正直少し物足りない。 「古泉ぃ・・・もう、やぁ・・・っ」 とうとう泣き言を漏らした俺ににっこりと笑いかけ、古泉はいつの間にかベッドのそばに置いてあったローターを手に取った。 そうか、そういや玩具使うって約束だったんだな・・・。 「まずは・・・僕の大好きなこのかわいい胸で試してみましょう?」 言うなり古泉はローターの球体のほうを指でつまみ。俺の乳首に押し付けてきた。 「つめた・・・っ」 ぐりぐりと押し付けられたそれは、無機物なんだから当然つめたい。 今まで古泉の熱い舌で散々舐られたそこには少しばかり刺激的だ。 「キョンくん・・・すごくかわいい・・・」 「ああっ!?」 今まではぐりぐりと押されるだけだったローターがいきなり震えだした。 乳首の先端に触れるか触れないかの距離でローターをくっつけられる。 何だ何だ焦らしプレイかこのやろう。 くすぐったいような気持ちいいよう微妙な感覚がまだるっこしい。 「どんな感じですか・・・?」 「わから・・・っ、何か・・・ぁついっ・・・」 意識が朦朧としてきた。体がすごく熱いんだがそれは決して不快な熱さではなく、わずかながらに心地よさを含んでいる気がする。 だんだんと強く押し付けられていき先ほどまでのくすぐったさが消え、代わりに腰が痺れていく感覚が増していく。 「ふぁっ!ああっ・・・や、や・・・っ!」 乳首をローターと指で挟まれ摘み上げられる。ぐりぐりと指を動かされるとたまらない。 痛いような気もするがそんなの全く気にならない。その刺激に翻弄されるばかりだ。 こうなると、先ほどから全く触れられていないほうの乳首まで疼いてくる。 「古泉・・・っ」 どうにかしてほしくて古泉を呼んでみるが、やつはエンジェルのような笑顔ではにかみながら可愛らしく悪魔の言葉を吐き出した。 「すいません・・・、ぼく、両手ふさがっちゃってるので・・・っもう片方はご自分でお願いします・・・っ」 塞がってねえだろ!俺の乳首にまとわりついている右手しか使ってねえじゃねえか!! 文句を言ってやろうと古泉をにらむと、驚くことに古泉のもう片方の手は古泉自身の制服の中に潜り込んで自分で胸を揉んでいた。 「あなたが・・・あまりにも可愛くてつい我慢できなくなってしまいました・・・んっ」 びくっと古泉の体が震える。 くっそ、こいつ色っぽすぎる・・・! 無意識に俺の手が古泉の胸に伸び、そのまま制服の上からそのでかい胸を握る。 「あぅっ」 途端、古泉の可愛い声があがり、俺はその声に興奮するままもう片方の手を自分の空いている胸に持っていく。 うわあもう俺何やってんだ・・・。 でも古泉の震えた声を聞いているとどんどん体が熱を持っていく。 可愛いのは俺じゃなくてお前だろ?!と言いたくなる。 しかしやはりローターをおしつけられている俺の体のほうが不利なんだよな。 古泉の胸を揉む手にも力が入らなくなってきた。 「はぁ・・・キョンくん・・・んっ、あ・・・好きです・・・かわいい・・・」 「こいず・・・みぃ・・・っ、あぁっ!や、あ、あっ・・・!」 ローターと一緒にぐりぐりと摘まれる乳首はそのままに、古泉は俺が自分でいじってる方の胸に顔を近づけてきた。 そのまま俺の指と一緒に乳首を吸われ、俺の体がそのままベッドの上に倒れこむ。 「ひぃんっ!」 急に俺が倒れこむものだから、古泉の胸を触っていた俺の手は何かつかむものを探し、そのまま古泉の乳首を引っ張ったまま倒れこんでしまった。 「す、すまん古泉っ、痛かったか・・・?」 倒れた表紙に古泉の手は俺の体から離れ、同時にローターもベッドの上に放り出された。 俺の体の上でびくびくと体を痙攣させる古泉の息はいやに熱っぽい。 ハァハァと呼吸を整える古泉が可愛くてたまらない。 「す・・・すいませ・・・っ、・・・ハァ、・・・いっちゃい・・・ましたっ・・・」 顔を紅潮させはにかむように告げられる。 ちょ、お前が先にイくのかよ。いや俺のせいか・・・すまん。 「しかしお前・・・今のでイくとか・・・Mかよ・・・」 今のひっぱられるのはさすがに痛いだろう。 なんといっても俺の全体重かけて引っ張られたんだからな。 しかしMというのには納得できないのか、未だ涙目のまま反論してくる。 「ひ、ひどいです!僕はキョンくんだから・・・キョンくんだからこんなに感じるだけなのに・・・!」 うお、かわいいなぁおい! だがまあそれに関しては俺も同意見だ。相手が古泉じゃなかったら誰がこんなことできるかって話だ。 このまま可愛い古泉を堪能して終わりにできればよかったんだが・・・俺のM発言に相当ショックを受けたらしく、 怒り心頭、といった感じだ。 「ぼ、ぼくがええええむだとしたら、キョンくんなんてドMじゃないですかぁ!」 ちょっと待て!それは聞き捨てならんぞ!誰が古泉以上のドMだ! 「キョンくんですよ!僕がちょっと乱暴な触り方したらすごく気持ちよさそうじゃないですか!」 「そんなことはない!それはお前の気のせいだ!」 「そんなことなくないです!ほら、こうやってひっぱられたらうれしそうじゃないですか!」 「ひっ!や、急にやめろ・・・っ!!」 言いながら力任せに俺の乳首を引っ張り始める古泉。 やべえこいつとうとう切れた! グイグイと乳首を引っ張ってきたかと思えば今度はそのままグリグリと捻られる。 痛い!痛い痛いまじ痛いって!! 「ひっ、あっあっああぁっ・・・!!古泉・・・っィタイ・・・!やめ・・・!!」 「痛いだけじゃないでしょう?こうされると気持ちいいんでしょ?」 言いながら片方の手が胸からスカートの中にまわされ、太ももをねっとりと撫で上げ下着のクラッチの部分を指でなぞられる。 その指の感触から、俺のそこが湿っていることがわかる。 下着と擦れてわずかながらに粘着質な音が漏れ聞こえるのが異様に恥ずかしい。 「青と白のストライプ・・・僕とおそろいの下着ですね・・・うれしい」 以前古泉とランジェリーショップに一緒にいったことがあった。 そこで俺は青と白、古泉はオレンジと白のストライプのパンツをおそろいで買ったんだ。 恥ずかしくはあるが俺のお気に入りの一枚で、今日はたまたまそのパンツを履いていたんだが・・・ 実際にそれを指摘されると恥ずかしい。 「見てください・・・僕も今日・・・履いてるんです・・・」 言いながら古泉は恥ずかしげに顔を背けながら自分のスカートをたくし上げる。 ああ、確かにちょっと・・・これはうれしいかもしれんな。 それに古泉のパンツは先ほど達したせいだろうか、湿っているどころじゃなく濡れていた。 そこのふくらみや割れ目がくっきりとわかるくらいに濡れたそこを見ていると、自分のそこもだんだんと濡れていくのがわかる。 「僕を見て・・・感じてくださったんですね・・・?」 とびきりの笑顔で俺にキスをしてくる。 「んん・・・」 遠慮がちな古泉の舌が俺の口内に侵入してきて、俺の舌を絡めとる。 舌と舌とが絡み合い、あいた唇の端からはどちらのものかもわからない唾液が零れ落ちる。 しばらくキスの心地よさに浸っていると、突然パンツ越しに激しい刺激をうける。 「ふぅ・・・っ!!ううんっ・・・・・・!?」 慌てて唇を離そうとしても、古泉の唇を押し付けられていて逃げられない。 こ、この振動はまさか・・・さっきのローターか!!? 倒れた拍子にそのままになっていたローターの存在を今の今まですっかり忘れきっていた。 ずっとスイッチがはいったままだったせいでローターの振動音もただのBGMと化していたから全く気づかなかったぜ。 古泉はそのままローターを俺の割れ目になぞって上下に動かす。 ぐいぐいとそこに押し付けられ、胸のとき以上に敏感になっていく。 パンツを横にずらされ、直接そこに触れられるともうだめだ。 強すぎる刺激に正直ついていけなくなってくる。 俺は必死に古泉を押しのけようとするが、力の入らない現状ではどうにもならない。 ただ古泉の腕にしがみついているだけになっていまっている。情けない・・・。 「キョンくん・・・頭・・・痛くないですか?」 急に何を言い出すかと思えば。 確かにポニーにして結っている箇所が頭に押さえつけられていて痛いかもしれんが・・・ 正直他への刺激が強すぎてそんなとこまで気づかなかった。 だが、一度意識してしまえば頭の違和感は消えてくれない。 どうにか頭を落ち着けようと体をひねってみるが、そのせいで押し付けられているローターにまた意識がいってしまいどうにもならない。 「やはり痛そうですね・・・ちょっと待ってください、僕がほどいてあげます」 言うなり古泉は俺の頭に顔を寄せ、口でリボンの先を銜えるとそのままスルスルとほどいていった。 「とれまひたお。ろうれす?もうひたくありませんか?」 銜えながら喋るな!エロイ! おかげで確かに頭は楽にはなったが、下肢への刺激は全く治まりそうにない。 もじもじと体を揺らしていると、古泉が俺の右手をつかんできた。 何だ? と思う間もなく、同時に俺の右足首を抱えて・・・って! おいちょっと待て!何やってんだ古泉!!! あろうことか古泉は、俺の右手首と右足首を俺の髪のリボンで縛ってきた。 まじ!本当まじありえないから!!しかもなんだこの結び方!はずれねえええ! 「いざというときのために、登山用の結び方を機関から教わりまして・・・」 いざってなんだ!こんながちがちした縛り方をしなきゃならん登山なんざいざも何もねえよ! 空いた左手でなんとかほどこうと試みるが、まったくびくともしない。 俺のリボン・・・100均で買ったただの安物なのに・・・なんでこんなに頑丈なんだ! 「ああっ、だめですよ。せっかくキレイに縛れたのに・・・」 知るか!そんなに縛りたきゃ自分で縛れ! 古泉の声を無視して何とかほどこうとがんばっていると、突然乳首に噛み付かれた。 「ひぃっ!」 「もう・・・らめれふっれいっれるららいれふのに・・・」 歯を立てながらもごもごと喋るなああ!何言ってんだかわかんねーよ! 歯でこりこりと乳首を挟まれ、時折先端を舌で舐めらると一気に体の力が抜けてくる。 「やぁ、あ、あぅ・・・ひっ、ぃ・・・っ!」 乳首に歯を立てられながら、古泉の手は俺のパンツを下ろしはじめる。 左足からパンツを抜かれ、右足はすでに縛られているからそのまま足首でまるめられる。 右足は立たされているため、ぶっちゃけ俺のそこは丸見え状態だ。 少しでも隠そうと左足を寄せてみるが、あまり効果はないようだ。 それどころか俺のその行為が気に食わなかったのか、今度は左足を無理やり立たせられる。 お、おい待て・・・まさか・・・! 嫌な予感は当たるもので、古泉はベッドの下に落ちていた俺の制服のリボンを拾い上げる。 そのまま左の足首と手首をいっしょくたにまとめられ、多少の抵抗はしたものの結局は縛り上げられてしまった。 「ああ・・・ど、どうしましょう・・・縛っちゃいました・・・!」 縛っちゃいましたじゃねえって!困った顔でおろおろするくらいなら最初からするな!いいからほどけ! 「え、で、でも勿体なくないですか・・・?せっかくこんなに可愛いのに・・・」 ススっと腹を撫でられ体がびくつく。 こんな格好が可愛いわけあるかってんだ。 両手首と足首を縛られてベッドに転がってるんだぞ。 制服の上とブラは腕も抜かれてない状態で首元にまとめられ、パンツは足首だ。 唯一無事なのは俺のお気に入りの黒いニーソだけだが、この状態ではかえって変態くさい。 そのうえ俺を拘束しているのは両方とも俺の私物だっていうんだからもう泣くしかない。 「すごいキョンくん・・・ゾクゾクしちゃいます・・・」 うん。お前のその恍惚としてキラキラと輝いた瞳を見ればわかる。 わかるがやめろ。 「あ、あの・・・写メ・・・いえ、デジカメ!デジカメ持ってきます!こんなに可愛いキョンくんを保存しないなんてだめですよね!」 こんなことならデジビデ買っておけばよかった・・・あ、でも携帯のムービー機能だったら! とか何とかいう古泉に殺意を覚えた俺を誰が責められるか。 こんな・・・こんな格好を保存されるなんざ、末代までの恥だ!恥ずかしさで死ねる! 朝倉のナイフがこんなにまで懐かしく思える日が来るなんて・・・。 「デジカメありました!容量2Gくらいしかないんですが、キョンくんの可愛いとこいっぱい撮りましょうね!」 語尾にハートマークをつけ、息を弾ませながら俺にデジカメを突きつける。 2Gしかって・・・お前どんだけ撮る気なんだよ!?いや、っつーかな、 「お前何考えてんだ!ハメ撮りなんざ俺は絶対嫌だぞ!!」 「はめ・・・?何ですかそれ?」 えっ!? いや、ち、違うのか・・・? 「はめどりっていうのが何かは知りませんが、僕はこの可愛いキョンくんを記念に残したいだけなんです。 縛られて無抵抗なキョンくんや、僕の手で気持ちよさそうなキョンくん、それに玩具で遊ばれて身悶えるキョンくん・・・ どれもこれも永久保存しちゃいたいんです・・・っ!」 「やっぱハメ撮りじゃねえか!!!」 あ、いや、男のホニャララがないからハメ撮りってわけでもないのか・・・? しかし似たようなもんだ。 人様に顔向けできないような行為中の、しかもアブノーマルなプレイを写真に収められるとか嫌すぎるぞ! 「だめ・・・ですか・・・?」 うっ、そんないじめられたような顔するな!現在進行形でいじめられてるのは俺だろ!? そんな顔は反則だ・・・っ! 「ちょっとだけ・・・ちょっとだけでいいんです・・・もちろん誰にも見せません。僕だけの宝物にしますから・・・」 「あぅ・・・っ!古泉・・・っ!」 言いながら古泉は俺の全開のアソコへ触れてきた。 やわらかいところを優しく撫でられ、くすぐられるように触られる。 「ふぅ・・・ん・・・」 時々俺の一番敏感なところに触れるそぶりはみせるが、あえてそこには触れずに周りを行ったりきたりするばかりだ。 くそ、焦らしプレイ再開か・・・っ!? 「キョンくん・・・ね?だめですか・・・?」 だから泣きそうな声だすなって!!泣きたいのこっちだって!! 「キョンくんが僕に触られて・・・こんな風にいっぱいお汁が垂れて・・・太ももをぴくぴくさせてるところ・・・保存しておきたいんです・・・」 うおおおおおおお今度は何だ言葉責めかああああああ!!? やめろ、耳が、耳がああああ!! お前の声は嫌いじゃないってかぶっちゃけ大好きなんですがやめてください喋らないでください!! しかも古泉の言葉は嘘ではなく、実際にそのとおりなのだから尚更気恥ずかしい! なんとか古泉の視界から隠そうと足を合わせようとするが、両足とも縛られていてどうにもできない。 「ほら、こんな風に腰を揺らしてもどかしそうな姿・・・今日だけしか見れないんですよ?」 見なくていい見なくていい! 本当写真だけは勘弁してください! それと正直さわさわと触れられるだけのそこが物足りない。 焦らしに焦らして俺にうんと言わせるために作戦だとわかっていても体は正直なものだ。 もっとしっかり触ってほしくて堪らない。 しかし古泉の指は相変わらず割れ目を行ったり来たりするだけで、肝心なとこには一切触れてくれない。 もどかしい。 「古泉・・・っ!頼むから・・・もっと・・・!」 却下されるとわかっていても懇願が口をついて出てしまう。 せめて割れ目の中まで触ってくれればまだましだろうに。 「僕も・・・我慢できません・・・」 言いながら古泉の頭が俺のそこに近づいてきた。 当然俺の頼みは却下されるだろうと思っていたのだが、古泉はあっさりと俺の願いを聞き入れてくれたようだ。 ペロリ、とそこを舐められ、その感触にぞくぞくと震えが走る。 「あぁ・・・!」 今まで指で散々焦らされ続けたそこに、古泉の熱い舌が触れる。 待ち望んだ刺激に期待感がつのるが、古泉はそんな俺の期待をもろくも崩れさせてくれた。 舐めるだけなんだよ、こいつ。 ふくらみと割れ目の部分をひたすら舐めるだけで、ちっとも奥に進んでくれない。 俺の一番好きな部分どころか、割れ目を押し広げることすらしない。 指よりも刺激が強い分、かえってこっちのほうが焦らされ感がたまる。 「んっんっ・・・」 古泉本当もう頼むから!俺のこの熱どうにかしてくれ! 「じゃあ・・・デジカメ撮ってもいいですか・・・?」 そんな期待に満ちた顔でこっちみんな。 「それ・・・は、だめだ・・・っ!」 そりゃそうだ。こればかりは譲れない。 一時の快楽に身を任せて一生の恥を残すなんて誰ができるか。 俺の答えを聞いた古泉は、俺の足の間から上目遣いで頬を膨らませる。 むぅ~、という効果音がつきそうな顔ははっきりいって股間にくる。 ついてないけど俺の心のちんこに直撃です。 くっそ可愛い過ぎるだろお前・・・っ!! 「じゃあいいです・・・」 お、諦めてくれたか、と思い安心した矢先、古泉が突然俺のそこを吸い上げ始めた。 「ああぁぁっ!や、やあぁ・・・!」 今までの緩やかな刺激から一転、急なそこへの刺激に体がついていけない。 俺の半ば溢れ出していた汁をすすり上げ、舌を割れ目の中まで侵入させてきた。 「ふあ、あああ・・・っ!!こい・・・っ!」 気持ちよすぎてたまらない。 腰が勝手に浮き出してくる始末だ。 それから少しもしないうちに俺の体は絶頂に達した。 「はぁ・・・はぁ・・・あ?あ、やあああ!!」 イった感覚に身を任せ、心地よい倦怠感を堪能する間もなく、古泉はそこへの刺激を再開した。 今までは触ってもくれなかった俺の一番感じる場所・・・クリトリスを舐められ、俺はつい先ほどの絶頂感と相まってびくびくと痙攣してしまう。 そこを舐められ、吸われ、挙句の果てには甘噛みされて、俺は立て続けにイってしまった。 「ひぅ・・・っ、は、あ・・・も・・・やあ・・・っ!」 それでもまだ足りないのか、もうクタクタな俺の体を離してはくれず尚も攻め立てる。 腕を伸ばし、乳首までつままれてしまいもうどうしようもない。 敏感なところをとことん責めあげられて、正直辛い。 「こい・・・み・・・!やだ、もう・・・ああっ!や、やめてくれ・・・!!」 今日何度目の懇願だろう。 「かわいい・・・すごくかわいいですキョンくん・・・っ。やっぱり・・・ね、二人の愛の記録、残しましょう?」 こいつ・・・まだ諦めてなかったのか・・・っ! しかしここでうんと頷けばこの責め苦から開放されるのだろうか・・・。 いや待て俺。早まっちゃだめだ。 「ぜ・・・たい・・・いや・・・だ・・・っ!」 いくら辛くてもこればかりは譲れない。 自分の意思を保つために、俺は精一杯の力をこめて古泉を見つめ返す。 すると古泉は今にも泣きそうな顔で眉をひそめていた。 「キョンくん・・・ひどい・・・っ。や、やっぱり僕の事なんて好きじゃないんですよね・・・っ!」 えええええちょっと待ておい何でそんな話になるんだ!? お前ちょっと被害妄想激しすぎやしませんか!? 誰が好きでもない同級生の女にこんなこと許すんだって!何かさっきもこんな話しなかったか? ちょ、まじ泣くなって! 何だ、何か俺が悪いみたいな気がしてきたじゃねえか! こ・・・これは許可だすしかないの・・・か? いやでもしかし・・・! あれこれと考えていると、古泉は本日何度目かのアレをまた手に取っていた。 え、え・・・? 「いいです・・・きょ、キョンくんがぼくのこと好きじゃないなら・・・ふぅっ、か、からだからろうらくさせてやればいいれす・・・っ!」 泣きながら何つー事言い出すんだこの馬鹿は! あああ、目を擦るな、赤く腫れ上がるぞ!もったいない! ついでにちょっと落ち着こうぜ! しゃくりをあげながら古泉はまたもや俺の股間に顔を寄せてきた。 「あぅっ!」 ひっくひっくと泣きながら俺のそこを舐め上げる。 泣くか舐めるかどっちかにしなさい! でないと古泉が嗚咽をあげるたびに俺のそこに熱っぽい吐息がかかってますますやばいんだ! 「えぅ・・・ふっ、うっうっ・・・」 「あ、ぁあっ、んん・・・っ!」 室内ではしばらく古泉の嗚咽と俺の喘ぎ、そして俺の下半身から漏れ出る水音だけが流れていた。 そんなさなかにさきほど古泉が手に取っていたローターの振動音が再び流れる。 ローターのスイッチを入れた古泉は俺の下半身にそれを押し当てた。 「あああああっ!!ふぁ、あ、ああ!!」 やばい、これやばい! クリトリスにぴったりと当てられ、ゆるゆると動かされる。 「あぁっ!だめだ、ひっ・・・い、イっちゃ・・・やあぁぁぁあぁ・・・っ!!」 言うと同時くらいか、俺はまたしてもあっさりとイってしまった。 指や舌でイかされるのとは全然違う、激しい到達感。 息も切れ切れな俺をやはり古泉は許してくれないらしく、そこからローターをどけてくれそうにはない。 イったばかりの体にこの強すぎる振動ははっきりいって地獄だ。 「やだ、やだ古泉ぃ・・・っ!!も、むりぃっ!もうやだぁ・・・・・・っ!ひぃっ!」 先ほどまでの痙攣とは段違いなほどに俺の体はびくびくとしなる。 とうとう俺まで泣きはじめてしまった。 「キョンくん・・・泣かないでください・・・。かわいくてたまりません・・・」 一応泣き止んではいるが、未だに顔の赤い古泉はそう言うとますますローターを押し付けてくる。 「ひあああああっ!!」 ローターを押し付ける手はそのままに、古泉はぐっと体を起こして俺の胸元まで頭をもってきた。 そしてそのまま俺のささやかな胸に頭を乗せ、ちゅっちゅと口付ける。 跡が残るほどの強さではなく、ただくすぐったいだけのそれがすごく感じる。 だがそんな姿を可愛いなぁと思えるほど余裕はなく、またもや俺は絶頂を迎えてしまった。 ・・・何回イけば気が済むんだよ・・・。 何だもう俺イキっぱな? やはりというか何と言うか、古泉はローターを離す気はなさそうで、俺はまたしても気を飛ばしてしまう。 「や・・・こいずみ・・・・・・っ、も、きつぃ・・・たすけ・・・っ!」 頭が朦朧としてきた。体ももう限界だ。むしろ限界超えてる。 それでも止むことのない刺激に、俺の懇願が哀願に変わる。 俺をこんな目に合わせている古泉に助けを求めるなんておかしいかもしれんが、今俺を助けられるのは古泉だけなのだから仕方ない。 「キョンくん・・・気持ちいい?」 いや本当、気持ちいとかよくないとか、そんな次元とうに超えちゃってるんですって。 このまま続けられると多分俺死ぬよ。 こんな事で死ぬなんて死んでも嫌だが、ある意味気持ちよくていい死に方なのかもしれん・・・。 だが俺のもうあるのかないのかわからない意識は古泉の言葉を理解するより先に行動してしまう。 力なく頷く俺を見て、古泉はうれしそうに笑う。あ、ちゅうしたい・・・。 「キョンくんが気持ちいいと僕も気持ちよくなってしまいます・・・キョンくん大好きです」 そして俺の望んだ通りちゅっとキスをくれた。 すぐに離れる温度が物足りなくて、もう一回して欲しい。 出来る範囲で頭を持ち上げ、口を開け舌を伸ばす。 下半身では未だに振動が絶えず、俺はそう間もなくまたイってしまうだろう。 でもその前にキスしたい。 「・・・っキョンくん・・・」 古泉の顔が近づいてくる。そんなもの欲しそうな顔するな。ときめく。 だが古泉の目に映った俺の顔はそれ以上で、正直みっともないと思う。 でもとめられない。今すごく古泉が欲しい。 あとちょっとで唇がくっつくというところで、古泉の顔が近づくのをやめた。 ? 何やってんだよ、早くこいよ・・・! そう思ってもう少し頑張って顔を近づけても、その分だけ古泉はひいてしまう。 「ぅぇっ・・・な、なんでぇ・・・っ、こいずみ、こいずみ・・・っ」 過ぎる快感に俺の脳みそもはちきれてしまったのか、たったこれだけのことで涙が溢れてくる。 そんな俺の顔を満足そうに見て、古泉は優しく囁いた。 「ね・・・?ぼくたちの愛の証・・・記録しましょう・・・?」 何かもうよくわからんが、承諾しないことには古泉はキスしてくれそうにない。 それに愛、とかいう単語が出ていた。 古泉との愛の証。 何か素敵っぽい。 「する・・・するから・・・こいずみはやく・・・キス・・・」 してくれ、という前に俺の唇は古泉の唇に塞がれていた。 「んんん・・・っふ、ん・・・」 「はぁ、ん、キョンくん・・・かわいい、だいすき・・・あいしてます・・・」 俺の体を舐め尽くした古泉の舌が俺の舌と合わさる。 キスをしたいと思っていたが、思ったより体力を奪われていたらしい。 絡め返す元気もない。 それでも古泉は俺の舌を吸い、口内を舐め尽す。 そして古泉とのキスに満足したのか、俺はまた達してしまった。 その瞬間、一瞬目の前が白く光ったような気がしたが、今の俺にはどうでもいい。 全身に澄み渡る心地よい脱力感と倦怠感、それから幸福感でいっぱいいっぱいだ。 今まで部屋中に響き渡っていた耳障りな機械音が止み、古泉が俺から体を離す。 心地よい体温がなくり、俺は急激な消失感に襲われた。 「や、こいずみ・・・?」 不安げに古泉を見上げると、手に何やら持ってこちらにむけている。 絶え間なく俺の視界が白い光で覆われ、正直眩しいのだが、古泉の顔があまりにも幸せそうなので好きにさせておいた。 それに、ぶっちゃけ今相当眠気が襲ってきている。 古泉の「かわいいです!」とか「その顔がまた・・・」とか「こっちの角度でもう一枚!」とか言う言葉に反応を返す気力もない。 完全に意識がなくなる直前、 「え、そんな寝ちゃうんですか!?だ、だめですよぉっ!まだローター挿れてもないし、身悶える姿も撮ってないんですよー! もう、勝手にローターいれちゃいますからね!」 とかいう古泉の言葉が聞こえた気もするが、聞こえただけで意味を理解するのは無理だった。 適当に頷いて、そのまま俺の意識は眠りの世界へ落ちていった。 翌朝、俺は古泉の呼びかけで目が覚めた。 「んん・・・」 「あ、おはようございます、キョンくん。もう7時ですよ?早く支度しないと遅刻しちゃいますよ」 7時・・・お前ん家からなら十分間に合うだろ・・・。 あ、っつーか俺無断外泊かよ・・・。やっべ。 「大丈夫です、僕が夜のうちに連絡いれておきましたから」 お、まじか。助かる・・・。 「サンキューな、古泉」 「いえいえ、僕も昨晩はいろいろといい目見させてもらいましたから」 う。 その一言で夕べのあれやこれやが一気に思い出される。 うおおおおおおおおおおおおおおお!ちょ、恥ずかしいってレベルじゃねーぞこれ! 何かもう後半とか記憶もぶっ飛んでるし! ど、どこまで覚えてるっけ俺・・・。古泉がしつこくローター押し付けてきたのは覚えてるが・・・ だめだ、思い出せねえええええええ!! 「?どうしました?」 「いいいいいやなんでもない!気にすんな!!」 ぐるぐると葛藤していた俺に心配気に声をかけてくる古泉だが、正直今お前の顔見るとやべえから! びくっと体を揺らした瞬間、下半身に微妙な違和感を覚えた。 な、なんだ? 昨日のアレのせいでおかしくなったのか・・・? そっと毛布を持ち上げてみる。 寝ている間に拘束は解かれ、体もきれいに拭かれてパジャマを着せられていた。 あー、全部古泉にやらせちゃったのか・・・悪かったな。 そう思いながらズボンのゴムをひっぱって見ると・・・ん? なんか、俺の、股間から、どっかで、見たような、ピンクの、コードが・・・・・・・・・ 「古泉いいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃっっ!!!」 「は、はいっ!どうしました?な、何か悪いところでもありました・・・?」 びくびくと震えながらこっちを伺う古泉の頭を拳骨で殴りつける。 「い・・・ったあい!あ、朝から何するんですか!」 「それはこっちの台詞だ!!何だ、何であのローターが俺の・・・おおお俺の・・・っ!!」 怒りと恥ずかしさでうまく言語化できない! 怒りと恥ずかしさでうまく言語化できない! 「ああ、だってキョンくん先に寝ちゃうですもん・・・」 はあ?するとお前は何か?自分より先に寝てるやつにローター突っ込む癖でもあるってのか!? 「違いますよう。キョンくんが寝そうだったから、ローター入れますよ?って言ったら頷いてくれましたもん」 そりゃ寝ぼけてただけだろ! 鵜呑みにする馬鹿がどこにいる! ・・・ああここにいたかこの馬鹿泉!! 「でもでも、ほら、動かしてあげるとすごく気持ちよさそうでしたよ?」 言いながらざっと俺のズボンに手を突っ込み、ローターのスイッチを入れやがった。 「ひっ!?あ、ちょ、やめろ馬鹿・・・っ!な、何だこれ・・・!」 ナカが、ナカが振動してる・・・!気持ち悪っ! 外から与えられる刺激とはまた全然違う。 俺のそこは今まで古泉の指と舌しか入ったことないんだって! なんか昨日も言った気がするが! なのにこんな無機物入れられて、そのうえ振動して・・・ 気持ち悪い!こんなんで気持ちよくなってしまう俺気持ち悪い!! 「ね?気持ちいでしょ?あ、そのままちょっと待ってくださいね!」 ごそごそとベッド横のチェストから取り出したのは・・・デジカメ・・・っ。 「ば・・・っ、嫌だって・・・言ったろうが・・・!」 「え?でも昨日していいって言ってくれたじゃないですか?」 きょとん、とデジカメ片手にこちらを見つめてくるな。 それから俺はそんなこと一言も言ってない! 最後まで反対してたろうが!! 「いいって言ってくれましたよ!キョンくんがキスして、って言うから、じゃあ二人の愛の証残しましょうね、って言ったら、いいよって。 ちゅう写真とか、いっぱい撮りましょうねって言いました!」 言ってねえよ! ・・・言ってないよな? ・・・・・・言ってない!うん、絶対言ってない!自信はないが言ってない!! 「まさか覚えてないんですか・・・?そんな・・・僕達二人の愛を再確認できてすごく嬉しかったのにぃっ・・・!」 そういって古泉はまた泣き出してしまった。 も、もうだまされないからな! だいたい事の始まりだってお前が泣き出すから仕方なくだったろうが! 女の涙ってのは卑怯だ!否応なしにこっちが悪い気になってしまうじゃないか! 涙を零しながら古泉の手は再び俺のズボンの中に入ってきた。 やっとスイッチを切ってくれるのかと思えば、それは甘かったようで。 古泉の指はそのまま俺の股間へと到達し、じわりと濡れはじめたそこを指で押し始める。 そのまま入り口をぐりぐりと揉み解し、空いた指でクリトリスまで弄り始める。 「はっ、あぅ、や・・・やめろ・・・てっ」 歯を食い縛り、その刺激に何とか耐えてみせる。 その間も古泉はグズグズと俺への恨み言を絶やさない。 いっぱい気持ちいい事してあげたのに先に寝ちゃうし、とか 昨日は全然キョンくんに触ってもらってないし、とか 朝キョンくんが起きたら昨日の写真を仲良く二人で見ようと楽しみにしてたのに、とか・・・ 何だこの勝手な言い分は! お前のそのいっぱい気持ちいいことのせいで俺は三途の川渡りかけたんだ! 触ってくれないもなにも、腕を縛ったのはお前だろう!どうやって触れって言うんだ! 二人で写真鑑賞会ってなんだ!俺に生き恥をさらせっていうのか!そんなもん見ずに消去だ! 途切れ途切れにそう反論すると、古泉は頬をぷくっと膨らませ、涙の滲む目で睨んでくる。 な、なんだよ・・・。 「キョンくんのばかぁっ!」 「ひゃあうっっ!?」 怒鳴りながら勢いにのって古泉の指が俺の中まで侵入してきた。 どうやら入り口近くで留まっていたローターに古泉の指が触れ、その衝撃でローターが今までと違ったところへ移動する。 「ああああっ!やだ、やだそこ・・・っ!」 それがまた運の悪いことに俺のイイところにあたってしまったらしく、体ががくがくと震えてしまう。 古泉にしがみついて何とか刺激を紛らわせようとしてみるが効果はないようだ。 中で蠢かせていた古泉の指が、俺のそこにローターを強く押し付ける。 「はああああああ・・・っ!」 途端甲高い声を上げ、情けなくも朝から絶頂を迎えてしまうことになった。 「はぁ、はぁ・・・も、とめれくれ・・・っ!」 「じゃあ・・・いいですか・・・?」 ・・・?何が・・・? 「何がじゃないですよ!僕達の愛の証、ちゃんと保存しておいていいですよね?って聞いてるんです!」 ああねえ。確かにそんな話してましたねえ・・・っておい!いいわけあるか! 何が写ってるのかは知らんが、どうせろくでもないものに決まってる。 そんなもん記録されておくなんて、デジカメとメモリースティック、そして俺が可哀想すぎるだろ! 反論しようと口を開くと、古泉の指に力がこもる。 ひっ。 ちょ、落ち着け、そんなことしても俺は・・・ってあああああああ!! やめろ、ぐりぐり押し付けんなああああ!! ・・・結局俺は古泉の卑怯な攻撃の前に敗れざるを得なかった・・・。 昨日の疲労が溜まりに溜まっている今、古泉の魔の手から逃れる術を俺は持たなかった・・・、 ああ・・・願わくばあのデジカメの中身が古泉以外のやつの目に触れないよう祈るばかりだ・・・。 もちろん俺も見たくない。 観念した俺に機嫌を直した古泉はようやくローターのスイッチを切ってくれた。 ・・・もちろん、スイッチを切る前にローターを挿れられ身もだえしている姿をしっかり記録して・・・な・・・。 何かもう・・・疲れたよパトラッシュ・・・。 このまままたベッドに潜り込んで眠りたいところだが、今日も学校だ。行かねば親とハルヒに怒られる。 ふう、とため息をつき、ふと古泉を見ると何やら顔を赤くしてこちらをちらちらと見ている。 ああ?何だ? 「あ、え、あ、その・・・、ま、また汚れちゃったみたいですし・・・、よ、よかったら僕がその・・・ななな舐めて!舐めて綺麗にしてあげても・・・」 「断固断る!」 しょぼん、と肩を落とす古泉がちょっと可愛いとか思ってしまうあたり、俺も大概にしとけよって感じだ。 だがそれとこれとは話が違う。 そんなことし始めたらまた長々と時間食うだろうが!お前暴走して止まる気ないだろ! ちぇ、キョンくんのいじわる・・・と言いながら濡れた温タオルを持ってきてくれた。 さっさとよこせ、と手を伸ばすと、こればっかりは譲れません!と強引に俺の脚を割った。 ちょ、結局お前がするなら一緒じゃねえか! 古泉が濡れタオルをそっと股間にあて、ゆっくりとぬぐっていく。 その感触がまた・・・何だ、その、あれだ・・・気持ちよくてだな・・・ よくエロ本とかにある『拭いても拭いても溢れてくる・・・淫乱だね・・・』みたいなシチュエーションになってしまったのも仕方ないと言えよう。 ・・・自分で言っておいて、誰が淫乱だ!とツッコミをいれてしまう。 くっそ・・・こいつの触り方がエロイんだよ!自分でやったらこんなことにはならないのに・・・! 古泉は古泉で、そんな俺の股間を見ながら頬を染め、やっぱり舐めてあげたいのになぁ・・・、とかつぶやいている。 もう一発殴りてえー。 何とか色々と耐え抜いて、そこを綺麗にし終えた時にはすでに時計は8時過ぎ。 やっべ、そろそろ用意しないと遅刻だ! 「おい古泉、もう時間だ」 「あ、本当ですね。楽しい時間は過ぎるのがあっという間です」 ・・・そうか、お前は楽しかったのか。俺には苦行の時間だったんだがな。 それからさ、さっきからずっと思ってたんだが・・・ 「・・・いい加減ローター抜けよ・・・」 そう。俺のそこを拭っている時からずっと謎だったんだが、こいつは綺麗にするとかいいながらローターはそのままにしていた。 それを指摘しようにも、俺にもやむにやまれぬ事情があり・・・ぶっちゃけ漏れ出る声を抑えようと頑張っていてできなかったわけだ。 だがしかし、古泉はまたもやえ?という顔でこっちを見つめる。 あ・・・また何かいやな予感が・・・ 「でもキョンくん・・・今日はローター入れたまま学校に行くって約束・・・」 「してねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」 まじか!?まじでそんな約束したのか!!? 無理だ、絶っっっ対無理だ!!!!!! 昨日の俺マジで自重しろよ!! 全力で拒否する俺に、もはやおなじみの涙目古泉。 ・・・あーあ・・・こりゃ俺が折れるのも時間の問題・・・だな・・・。
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もくじ 目を開ける。視界一杯に映り込んできたのは少女の笑顔。 「起きましたか?」 少女がソファから立ち上がって僕に声を掛ける。その際にソファが歪んで彼女がそこに腰掛けていた事を知った。 「今……何時です?」 寝転んでいたソファから上半身を起こして少女に尋ねる。……毛布が掛かっていたのは、彼女の仕業でしょう。僕は仕事から帰ってきた後、倦怠感に身を任せて着替えもせずに突っ伏した筈ですから。 「二時くらいです」 少女は微笑んで僕の眼を見る。 「二時……ですか? それは……寝過ぎましたね」 幸いだったのは今日が休日だったことでしょうか。昨日は確かに激務だったとは言え、目覚ましも掛けずに寝てしまうなんて我ながら何と言うか……。 「困ったものです」 溜息を吐く。 「何が困った事なんですか?」 少女が僕の上に掛かっていた毛布を丹念に畳みながら聞いてくる。 「いえ、今日が休日で良かったと思いまして。もしも仕事の有る日でしたら、森さんからどんな怒声を浴びせられていたか……危なかったです」 森さん、という単語に少女の眉がぴくりと動いた気がしますが、きっと気のせいでしょう。 「危なかったって?」 「いえ、だって寝過ぎでしょう。幾ら疲れていたとは言え、昼過ぎまで寝ていたなんて……」 「昼過ぎ?」 少女が手を止めて僕を見つめる。不思議そうな顔。恐らく、僕も同じような顔をしているのだと容易に想像がつきます。そのまま数秒見つめあった後、彼女が何かに気付いたように、うんうんと一人頷いて。 「何に得心されていらっしゃるんですか?」 僕の問に少女はその細い腕をゆっくりと持ち上げる。指を差した先は……窓? 視線を向けて納得する。帰ってきて直ぐに寝てしまった僕がカーテンを閉めている訳も無く。 窓の外は真っ暗だった。 「えっと……もう一度現在の時刻を教えて頂けますか?」 振り向く首が中々回らない。呆然とし過ぎて神経が上手く繋がっていない様です。 「ですから、二時ですよ」 「十四時ですか?」 「いいえ、AM二時です」 少女が平然と回答する。ああ、なんだか頭痛がしてきました……。 「分かりました。未だ深夜な訳ですね。で……一体貴女はそんな時間に何をやっていらっしゃるのでしょう?」 うんざりと問い掛ける。 「夕食を作り過ぎて余ってしまったので持って来たんです。ほら、古泉さんっていつもご飯、コンビニじゃないですか」 少女が持参した物だろう、黒と白のストライプ柄の鞄からエプロンを取り出す。 「お腹空いてませんか? すぐ、温めますね」 「ああ、いつもありがとうございます……って、そうじゃありませんよね」 今にもキッチンへ向かって駆け出そうとする少女の、腕を握って止める。 「古泉さん!?」 慌てて振り向く彼女。頬を少しだけ赤く染めていらっしゃいましたが……まぁ、この際、気に留めている余裕はありません。 「どうやって入ったんですか?」 「合鍵です」 至極当然と、そう言って彼女は笑う。母親譲りの太陽の様に眩し過ぎる笑顔で。 「合鍵って……」 直視出来なくて眼を逸らす。……口調のみではありますが、なるべく自然を装って少女に問う。 「この部屋、カードキーですよね?」 「長門さんに合鍵の作製をお願いしました」 ……これ以上無い程に納得です。彼女にとっては地球人類が作った鍵の複製などなんて事も無いでしょう、ええ。「この程度で鍵とは……児戯にも等しい」そう言って手の中に鍵を創り出すその姿が眼に浮かぶようです。 「凄いですよね、長門さんって。何でも出来るんです……あ、お料理は私の方が得意だけど。でも、それくらいかな?」 彼女の腕を掴んでいない左手が自然と額に伸びていた。どうやらキョン君の所作が伝染ってしまったようです。 「……やれやれ」 痛みを振り払うように頭を左右に一度二度。 「……どうやったんですか?」 「何の話です?」 少女が首を傾げる。 「貴女は彼女に何を提供したんでしょう?」 幾ら長門さんが二人の子供達に甘いとは言え、何の見返りも無しに僕に怒られるような真似をする訳が有りません。……まぁ、何で釣ったのかは大体予想も付いているのですが。 「弟のプライベート情報です」 予想を裏切らない回答をありがとうございます。……ジュニア君も大変ですね。 「お話はそれだけですか? だったら腕を離して頂けると……えっと、やっぱり離さなくて良いです」 何を赤くなっているのか……いえ、理由は分かりますが。 「離しますよ」 我ながら素っ気無いと思う。しかし、彼女を留め置く訳にはいかない。 「あ……」 少女が僕が握っていた箇所をさする。いけない。ちょっと強く握り過ぎたかも知れない。 「痛かったですか?」 「え?……いえ、そんな事は、全然……」 彼女は慌てて頭を振ると、キッチンへと向かう。 「あ……温めますね、おかず」 「結構です」 自分の口から出たとは思えない、冷たい言葉。でも、紛れも無く僕の言葉。 「お裾分けは感謝します。ですが、温めるくらいなら僕にも出来ますので」 「えっと、でも……」 少女が困惑の表情を浮かべる。しかし揺らぐ訳にはいかない。僕は心を凍らせた。 年長者として、そして彼女の保護者の一人として。僕には彼女を守る義務がある。 「それよりも少女がこんな夜更けに一人暮らしの男の部屋に入り込んでいる、その事実の方が僕には余程問題なんですよ。今夜は帰りましょう。家まで送りますから」 彼女の瞳にじわりと、涙が浮かんだ……様に見えた。 「帰らないと、ダメですか?」 「ダメです」 少女の狼狽が手に取るように分かっても、しかし言葉を曲げる訳にはいかない。 「どうしても?」 「どうしても」 僕は努めて強い口調で言いました。学生時代、常に演技をしているような感覚で過ごしてきた経験が、こんな所でも役に立つものなのだと思うと中々感慨深いものが……無くも無いですね。 ただ……僕はある事実を失念していました。そうです。彼女は誰有ろう、この世界の神の娘であるという純然にして不動の事実。 ハルヒさんが持っている「力」の片鱗を、彼女の子供の中で誰よりも色濃く受け継いでいる目の前の少女。 その願いはある一定の節度を持って、実現する。 だから、なのでしょうか? 少女がこんな事を言い出すのも、朝比奈さんの語る所の「規定事項」なのかも知れません。 「とても言い難いのですが……ウチの家の鍵閉めてあると思うんです」 「えっと……どういう事でしょう?」 思わず耳を疑う。演技を忘れて聞き返してしまった。 「出掛けに、お母さんに『古泉さんの所にご飯持って行ってくる』って言ったら『鍵掛けておくからね』って……」 ……何を考えているんですか、あの人は!? ……ああ、ハルヒさんらしいと言ったらそれまでですが。 「えっと……お父さんは分からないけど、お母さんは……その……公認? ……してくれてる、って言うか……」 そう言えば、あの人は実の娘であっても面白がる人でしたね……。そして、その人の遺伝子を確かに持っている目の前の少女は、物腰こそ柔らかなれど有無を言わさぬ実行力はきっちりと母親譲りで。 ……しかし、流される訳にはいきません。何度も言いますが、大人として。 「……キョン君のケータイに電話します。それで内から鍵を開けて頂きましょう」 ああ、こんな事態がキョン君に知れたら何を言われるかなんて分かっています。が……この際、背に腹は代えられません。 僕は低い丸テーブルの上に無造作に放り出されていた自分のケータイを手に取ってキョン君に電話を……って、おや? ケータイを手に、凍りつく。……圏外!? そんな馬鹿な!? 「古泉さん、どうしたんですか? 顔……真っ青ですよ?」 「いえ、なんでも有りません。っと、そう言えば玄関に荷物を置いた侭にしていましたね」 僕は平然を装って玄関に向かった。 ドアノブを回そうとして、それがビクともしない事を確認。勿論、鍵は開けてあります。が、それでも動かない。……つまり。 「……久々ですね」 気付いていました。「帰りましょう」と言った時に、背筋をぞわぞわとした物が走り抜けていく「あの」感覚には。 感じた時には何かの間違いだと思いました。少女の機嫌を損ねるという状況が、僕にあの頃の感覚を幻覚させたのだと考えていました。 しかし。 ……何十年ぶりになるでしょう。もう、殆ど忘れかけていた。しかし、心の何処かにトラウマとなってしっかりと根付いていた、それは―― 「閉鎖空間」 「……なんて事だ……」 奥歯がギシリと音を立てる。 「よりにもよって、閉鎖空間を一番危惧しなければならない、回避しなければならない僕が、それを生み出す切っ掛けとなってしまうなんて」 分かっていた事でした。彼女がハルヒさんの持っていた力を多かれ少なかれ受け継いでいた事も、彼女が不安を感じた時に閉鎖空間を生み出してしまうかも知れない可能性も。 しかし、彼女は産まれてからこれまでに一度も閉鎖空間を生み出した事など無かった為に、僕達機関は安心し切っていたのですが……。 「まさか、初めての閉鎖空間がこの状況で、ですか」 右手で顔を覆う。 彼女自身もこの空間内に居る事から、これはいつぞやキョン君が招待された、あの閉鎖空間と同様のものと考えて良いでしょう。となると、ここから脱出する方法としてもっとも考えられる可能性は。 少女が望んでいる事は……。 『良い? 女の子は誰だってお姫様に憧れるものなの! だから、その時が来たら古泉君はあの子をお姫様みたいに扱ってあげてねっ!』 ハルヒさんの言葉が脳裏を過ぎります。この会話があった時はキョン君が隣に座っていた手前、笑って誤魔化しましたが……。 この事態こそが、彼女の口にした「その時」なのかも分かりません。 「古泉さん? どうしました? ご気分でも優れませんか?」 いつの間にか、後ろに来ていた少女がうなだれる僕に声を掛けました。顔を覗き込もうとしているようですが、内心の狼狽を悟られる訳にはいきません。 僕は剥がれ掛けていた仮面を付け直すと、彼女に向かって微笑みました。 「どうやら、仕事の資料を入れておいた鞄を職場に置き忘れてきたようです。明日……もう、今日ですか。今日、やろうと思っていたんですが……仕方有りません」 嘘八百も襤褸さえ出さなければ真実と余り変わりは無い。これまでに散々嘘を吐いてきた僕にとって、これくらいの嘘を吐き通すのは容易です。 「えっと……それって大丈夫なんですか?」 「期日などを特に設けられている案件でもないので、平気ですよ」 僕は出来る限り普段通りの顔を装ってリビングに向けて踵を返した。 厄介な夜になりそうだと、心の奥で毒づきながら……。 「……結局、電話は繋がりませんでしたね」 僕は少女に向けて呟いた。彼女の表情がぱぁっ、と明るくなる。見ているこちらが恥ずかしくなるくらいに分かり易い笑顔だった。そうですか。家に帰られないという、この状況がそんなに嬉しいですか。 「圏外という事は考え難いので……電池切れか、もしくはハルヒさんがキョン君の電話の電源を落としたのだと考えられます」 あくまでさり気無くを装って、彼女が自分の携帯電話に触れる事態を消しておく。 「そうですか……。えっと、お母さんもたまには夫婦水入らずとかしたいんじゃないでしょうか、きっと」 いえ、貴女が全ての元凶なんですけどね。とは無論言える筈も無いので、代わりに溜息混じりの嘘を吐く。 「そうですね……そちらの方が可能性としては有りそうです」 「なんか……ごめんなさい」 「いえ、貴女が悪いんじゃ有りませんよ」 慈しみを込めて少女の頭を撫でる。少しだけ屈んで眼の高さを合わせると、少女が頬を染めて眼を瞑った。何を期待されているのかは想像が付きますが……しかし、その考えは却下です。 「こうなってしまっては仕方が有りません。……そうだ。お腹空いてませんか?」 しゃんと立ち上がって呟く。ゆっくりと少女が目を開けた。少しだけ失望と、そして喜びを余す所無く表現するアーモンド形の大きな瞳が僕に向けられている。本当に表情も何も、あの頃のハルヒさんにとてもよく似ていらっしゃいます。 お母さんのトレードマークである所のカチューシャさえ着けていれば、知人でさえその姿にタイムスリップを疑う事でしょう。 今の僕のように。 「ご飯は十分に炊いてあったと思いますので、よろしければ持って来て頂いたおかずを温めては貰えないでしょうか?」 「私もご一緒して良いんですか?」 「一人よりは二人の方が、食事は楽しいんですよ。そうでしょう?」 少女は素直に……とても素直に頷いた。 いつもこの調子なら、僕も非常に接し易いんですけどね……。 タッパーから皿や椀に料理を移し変えて、ラップをしてレンジに投入する。僕がテーブルの上を片付けて遅い夕食の支度をしている部屋の、奥では少女が見事な手際で動いていました。 台拭きを取りに近付いた時には、鮮やかな手並みについ見蕩れてしまって。 「いつ見ても、無駄の無い動きですね」 「こういうのは結構得意なんです」 少女が顔をあげて笑う。どきりと、年甲斐も無く僕の心臓は跳ね上がった。 その笑顔は昔、キョン君が独占していたもので。何度となく、その微笑みを僕に向けて頂けたら、と願っていたもので。 そして、それは今、僕だけに向けられていた。人こそ違えど、同じ微笑み。 「貴女はお母さんによく似ていらっしゃいます。こういうのを『生き写し』と言うのでしょうね」 「そうですか? どちらかと言うとお父さんの方に似てる、って言われる方が多いし、自分でもそう思ってるんですけど」 「そっくりですよ」 郷愁から泣きたくなりそうな感情は伏せて、笑ってみせた。全く、演技ばかりのあの頃に感謝し切りです。当時はそれなりに苦痛も感じていた筈なんですけど、ね。しかし喉元過ぎれば何とやら、でしょうか。 「きっと、貴女もお母さんに似て美人になるんでしょうね。貴女の恋人となる人が、非常に羨ましい」 少女が面白いくらいに顔を真っ赤に染めて、僕は思わず笑ってしまった。眼の端に少しだけ浮かんだ涙は、きっとそのせいなんでしょう。 そう。彼女の恋人となる人を、あの頃の僕はずっと羨んでいた。 「アイツはお前に好意を抱いてるぞ」 コーヒーを片手に、キョン君は言って。こんな真剣な表情を見るのは何年振りでしょう。 「みたいですね」 素っ気無く言って僕もコーヒーを口に含む。口の中に広がる香気は流石はハルヒさんです。程良い苦味と酸味。相変わらず物を選ぶ趣味が良い。 「気付いていたのか」 「まぁ、それなりに。彼女の視線は父親の友人を見るにしては少し……こう言っては失礼かも分かりませんが……変わっていますから」 キョン君がこちらをじろりと睨んで。矢張り「変わっている」は、言葉が悪かったでしょうか。謝罪の言葉を口に出そうとした所、それよりも早く彼が僕に釘を刺しました。 「本気になるなよ」 予想外の台詞です。 「まさか! 自分の娘ほども年の違う子ですよ?」 「その辺りは理解してるし、お前の事もある程度は信用してるさ。どちらかと言うと年上好みだ、とかもな」 喉を湿らす為でしょう。コーヒーを一口呷ると彼は続けました。 「だが、俺の娘はハルヒの娘なんだよ」 「どういう意味です?」 僕がハルヒさんを好きだった、という事はキョン君も周知ですが……しかし、それにしたって相手は二回り程も年が離れています。 「いやいや、お前がハルヒの事を吹っ切ってるのは知ってる。そんな過去を蒸し返す心算で言ったんじゃないんだ。気を悪くしたのなら謝る……スマンな」 「いえ、特に気にしてはいません」 実際、今はもうお二人仲睦まじい様子を見ても心がざわつく事は無くなっていて。極稀に、思い返す事は有れど、それは羨望ではなく懐古と呼べる感情でした。 「しかし……では、先程の発言の意図は何でしょう?」 然程コーヒーは苦い訳ではない。僕もキョン君もブラック派であり、そしてこの家で出されるコーヒーはよく親しんだものだった。僕がそうだったのだから、飲み慣れているキョン君なら尚更だった。 しかし、彼は苦々しい顔をしていて。数分の沈黙の後で口を開いた。 「アイツには願望を実現する能力が有る」 その言葉を、僕がキョン君に言われる日が来ようとは、正直思ってもみませんでした。 「それは……機関の人間から可能性は有ると聞いていました。しかし実際、彼女が世界改変をした事実は有りませんよね?」 「今の所はな」 キョン君の危惧は分かりますが……しかし、それは可能性の話でしか有りません。それに兆候が見えない以上、杞憂ではないか、という考えが僕の中では大半を占めていました。 「お前の言い分も分かるよ。実際、そうであれば良いと俺も思う」 溜息を吐いてコーヒーで一服する彼。 「いや、一概にそんな力が無い方が良いとも言えないか。周りがどうあれ、アイツさえ幸せならそれで良いと思うのは……心の底から父親になっちまったからなんだろな」 「同意します」 「お前が同意すんなよ」 キョン君がやれやれ、と呟く。その仕草をしている時の姿は、あの頃と余り変わっていませんね。 僕自身もまた、あの頃とは余り変わっていない気がします。だからでしょう。僕らは相も変わらず軽口を言い合って、笑う事が出来るんです。 「あれ? 気付いてませんでしたか?」 「何に、だよ」 「僕は貴方達のお子さんの事を自分の子供同然に思っているんですが」 「……気色悪いぞ、古泉」 「ここでその台詞を持ち出しますか」 あの頃と違うのは、その笑顔の裏に何の含みも持たないで済む、という点。 僕らは大人になった。 子供のままで、大人になった。それが僕らの誇り。 「気を付けろよ、古泉」 「彼女の手管に、ですか。冗談でしょう? 相手は女子高生ですよ。経験の差から言ってやり込められるとは考えにくいかと」 「分かってないな、お前は」 キョン君がちらりと部屋の端に目をやる。釣られて視線を動かすと、そこには満面に笑顔を浮かべたハルヒさんと、引きつった笑顔の、しかし分かる人には幸せを噛み締めていると分かる表情をしたキョン君の結婚式の写真。 「アイツは女神の娘なんだよ」 ウェディングドレスを身に付ける、したり顔のハルヒさんは「女神」と表現しても何もオカしくない程に綺麗で。 そして、その写真に写された彼女に、年の頃が今のハルヒさんよりも彼女の娘さんの方が近いからでしょうか。笑顔に愛しい少女が重なって見えた。 慌てて頭を振って今の映像を追い出そうとする。そんな僕の胸をキョン君がトン、と突付いた。 「女神は本気でお前の心臓を刺しに来るぞ」 「見事に刺された人の台詞と考えると、身に摘まされる思いです」 僕らは笑った。 そんな話をしていた時は冗談だとしか思っていなかったのですが。 しかし、歓談をしながらスローペースで食事をする、少女を目の前にしてようやく気付きました。キョン君の危惧は冗談でも何でも無かったのだと。 「それで未来(みらい)ってば泣きながら電話してきたんですよ」 「まぁ、朝比奈さんでしたら大事には至らないでしょうから、心配は要りません」 他愛も無い話をしながら箸を進める。そんなごく日常的な筈の食卓の端々で、彼女が僕を見つめている事に気付かされる。 何かの折に目が合う度、赤い顔をして俯く少女を見ながら食事をしなければならないのは一種の拷問でしょうか。 しかし、かと言って沈黙はもっと問題です。自分から「そんな雰囲気」を作る訳にはいきませんので。 ですが正直な話、間が持ちませんね……。 そんな中、苦し紛れに振った話は、我ながら不用意で。彼女が食い付くのも当然と言えるでしょう。 「朝比奈さんも、長門さんも、貴女達が可愛くて仕方が無いんですよ」 「えっと……古泉さんも、ですか? 古泉さんも私達の……私の事をそんな風に思ってくれていますか?」 兎みたいに目を赤く潤ませて少女が僕に問い掛ける。その姿を見て「恋する乙女」と気付かない人など居る筈はありません。 ああ、僕は何か……この子の保護者として間違った接し方をしてしまっていたでしょうか? 大学を卒業と同時に結婚した彼女と彼の間に子供が出来たと聞かされた時に、僕は余り驚きませんでした。 何と言えば良いのでしょうか。それが当然で、至極自然な流れだと感じたからです。 お二方にその話をメールで報告された夜、僕達SOS団は誰に呼ばれた訳でもないのに二人の家に集合していました。 「男の子ですか? 女の子ですか?」 朝比奈さんがまるで自分の事のように嬉しそうに問い掛けて。 「調べてないわよ。産まれるまでどっちが来るか分からない、って事にしておいた方が面白いじゃない!」 涼宮さん……失礼。この頃には既に苗字は変わっていましたか。ハルヒさんは妊婦だというのに、まるで普段通りに「楽しさ」を追いかけていました。 「私は男の子だと思う」 長門さんが呟きます。ハルヒさんのお腹に手を当てて、愛しそうに撫で回す姿は受胎告知の絵を思い浮かべ……ませんね。天使はあんなに不思議そうな顔を浮かべたりはしませんでしょうし。 長門さんにとっては初めて立ち会う「ヒトの始まり」なのですから、不思議に思われるのも分かります。 まぁ、僕にも初めてではあるのですが。 「そうか。長門は男の子だと思うか」 キョン君の問い掛けにこっくりと頷く長門さん。 「ねぇねぇ、みくるちゃんはどう思う? 男の子かな? 女の子かな?」 「えっと……私も男の子だと思います。勘ですけど」 「そっか。みくるちゃんも男の子に一票か……なら、男の子かもね」 ハルヒさんが笑う。キョン君も笑う。その笑顔は照れ臭さと嬉しさで満ち溢れていて。 きっと、二人には子供の性別なんてどちらでも構わないのでしょう。ただ、無事に産まれてくれれば。 古今問わず、親となる者が持つたった一つの願い。 そんな二人を見ていると僕も嬉しくなってくるんです。 「きっと、女の子ですよ」 僕の言葉にその場に居た全員がこちらを振り向きました。珍しい物を見るような顔で僕を見ています。なんでしょう? 僕の顔に何か付いてますか? 「いや、そうじゃなくてだな」 「古泉君がこういった話に逆の意見を出すのって珍しいわね」 ああ、なるほど。確かに場の流れは「男の子」で集約されていましたからね。 ですが、れっきとした根拠も有るんですよ? 「へ? 根拠って何ですかぁ?」 「私も聞きたい」 「アタシもアタシも!」 僕の方へ身を乗り出してくる三人の女性。キョン君はそれを微笑ましそうに見ていて。 ああ、何だかんだ言いながらも、SOS団はずっと一つなのだなと思う。 それが嬉しい。 「ハルヒさんの顔ですよ」 「顔?」 長門さんと朝比奈さんが一斉にハルヒさんの顔を注視する。そんなハルヒさんはと言うと自分の顔を指差して不思議そうでした。 「自分では気付いてらっしゃらないかも知れませんが、特にここ最近、優しい顔になられました。産まれて来る赤ん坊が女の子なら優しく、男の子なら鋭く、顔付きが変わると聞いた事が有ります」 実際は幸せで頬が緩んでいるだけなのかも分かりませんし、この話が真実かどうかも知りません。 しかし、何故でしょう。 僕は産まれてくる子が女の子だと、信じて疑っていませんでした。 「きっと、女の子です」 僕の全てを持って支えていく。この世界でたった一人、僕が産まれた理由。 そんな少女がハルヒさんのお腹の中に居るような気がしていたんです。 そう。今僕の目の前に居る彼女は僕が望んでいた少女で。その彼女に好感を持たれている。その事は素直に嬉しい。 それもその筈。彼女は僕が心から好意を抱いているキョン君とハルヒさんの娘で。 僕が彼女を愛さない道理なんて有る筈も無い。 ですが……。 ですが、僕が彼女に抱いている感情は父親の娘に向けるそれであって、彼女の僕に向けている感情とは隔たりがある事を、僕は知っている。 だから、彼女の想いに応える事は僕には出来ない。 ……筈なんですけどね。 「すきです」 食事を終えて、洗い物をしている僕の腰に彼女は背中から抱き付いてきて。 「あなたが、すきです」 そんな告白をされていたのは……全く、我ながら無警戒にも程が有ると言わざるを得ません。いえ、背後に来ているのは気配で気付いていた訳ですが。 流石にこの状況は想像外でした。 蛇口から流れる水の音だけが部屋の中を支配する。いや、背中にぴたりと吸い付く少女の心音が体の中の水を通して僕の耳に届いていた。 ……喉が……カラカラで。 マズい……この状況はかなりマズいですよ……。 「古泉さん、心音……早くなってます」 「この状況で動揺するな、と言う方が無理でしょう」 実際、さっきまで皿を洗っていた手は全く動いてくれなかった。そこを目ざとく指摘される。 「手、動いてませんね」 「今、洗い物を続行したら皿を割りそうな気がしますので」 「それ……異性として意識してくれてるって事ですか?」 「年頃の娘に抱き付かれて動揺しない父親はいません。さ、洗い物が出来ませんので手を離して頂けますか?」 僕の言葉に素直に腕を解く少女……って、おや? もう少しごねられると思っていたんですが。 「どうかしましたか?」 父親、という発言がお気に召さなかったのでしょうか。しかし、それなら逆に好都合です。ここで少女を受け入れてしまえば後でキョン君に何を言われるか分かったものではありません。 「どうもしません。こんな風に迫って、それで古泉さんが困るのなら私は二度とこういった事をやりません。言いましたよね。あなたがすきだ、って」 振り返る。少女の目線は真っ直ぐで。 僕を、真っ直ぐに見つめていて。 「困らせる事は本意ではありませんから」 「では、何がしたいんです?」 「しあわせになって欲しいんです、あなたに」 こんなにも真っ直ぐに、人に想われた事など僕には無かった。 「僕にとって、貴女は娘ですよ。年齢的にも、精神的にも」 長年、保護者として接してきた、これは僕の本心でもありました。少女が「知っています」と一つ頷いて。 「でも、きっと振り向きますよ、古泉さんは。今は私の事を娘としか思ってくれていないとしても。必ず、振り向かせてみせます」 僕は知っている。強い決意と好意の篭ったこの瞳を。この、眼差しを。 それは、僕があの頃ずっと羨んでいた、瞳。十数年の時を経て、それが自分に向けられているというのに、僕は戸惑っていた。 「何故なら、私がそれを望んだからです。そして、貴方が心の奥底ではそれを望んでくれているからです」 少女は笑った。微笑んだ。向日葵のように。僕が好きだったあの頃のハルヒさんのように。 「お母さんから聞きました。古泉さんは私が産まれた時、泣いてくれたんですよね」 少女の言う通り。僕はあの日、涙を流した。それがどんな涙なのか、それは長門さんではないけれど「分析不能」で。 でも、きっと……その涙は嬉し涙だったのだと今になって思う。 「私は貴方に望まれて産まれてきました。貴方が私をこの世界に呼び寄せたんです」 交錯する視線を逸らせない。少女の一挙手一投足に強く惹きつけられる。 彼女はまるで恒星。大きな引力を持って、惑星を引き付ける。 「だから、古泉さんには責任を取って貰わなければいけません」 少女は力強く、そう言い切った。その言葉に、僕は何も返せなくて。 女神のDNAは遺憾無く受け継がれている事を、今更ながら骨身に叩き込まれた気がします。 「それに、古泉さんが私以外の女の子を好きになれるとは思えません」 そう言って笑った。真夜中に場違いな、明る過ぎる笑顔で彼女は笑った。 彼女が望んだ事はある一定の節度を持って実現する。 僕の感情が改変された可能性は極めて薄い。それはあの驚天動地の日々にあって、ハルヒさんがキョン君だけは何が有っても改変しなかった事からも容易に予想出来ます。 しかし……。 ならば、この想いはどういう事なのでしょう? どう説明を付ければ良いのでしょう。 気付けば僕は、少女に父性愛以上のものを抱いていて。 ……取り敢えず、今はキョン君にどうやって言い訳をするか考えなければいけませんね……。 いつの間にか閉鎖空間は消えていた。長門さんに後から聞いた所、そういった類の空間が出現した痕跡も見受けられなかったとの事で。 僕と同じ境遇の同僚に聞いても同じ答えが返ってきました。しかし、あの時僕の部屋は閉鎖空間と化していたのは紛れも無い事実。 ……ここまであからさまに彼らとの認識に隔たりがあれば、僕にだって分かります。 彼女は恐らく、創ったんでしょう。 誰にも迷惑を掛けない、僕に告白をする為だけの舞台を。 ただ、それだけの為に全世界を欺いた。機関の能力者とヒューマノイドインターフェイスと未来人の全てに、この小さな密室を気付かせなかった。 ハルヒさんならきっとこんな風に評すると思います。 「我が娘ながら末恐ろしいわ……」 本当に。全く、困ったものです。 「私が敬語を使い始めたのは、貴方に近付きたかったからなんです。少しでも、貴方との距離を詰めたかったから」 少女は僕に言った。 「私は貴方の為に産まれてきた事を、物心付いた頃にはもうなんとなく知っていました。笑いますか?」 「いいえ」 僕もそれを感じていましたから、とは言える訳もありません。ので、少し考えて言葉を継ぎます。 「僕がそういった類で笑わない事は知っていますよね」 「はい。十七年間、貴方を見てきましたから。古泉さんはよく私の家に来て、誰より私の傍に居てくれましたよね」 そう。貴女は僕の為に産まれてきてくれたと思っていたから。貴女の傍で貴女の成長を見届けるのが何より僕の幸せだったから。 キョン君とハルヒさんが拒まないのを良い事に、僕は二人の家に何か有る度に通っていた。 「……なるほど。距離を縮め過ぎたのが問題だった訳ですね……」 「何の話ですか?」 「いえ。こちらの話です。聞こえなかったのなら、流して下さい」 「分かりました」 僕が何を言ったのか、聞きたそうな少女。少しだけ口先を尖らせた、その表情はとても可愛くて。懐かしくて。 貴女が本当の娘であったなら、どれだけ僕は満たされていた事でしょう。 そう思わずには、いられない。 「僕は貴女の事を恋愛対象として見る自信はありませんよ」 少女が淹れてくれたコーヒーを飲みながら僕は言う。その言葉がどれだけ少女を傷付けるか分かっていて、毒を吐く。 「先ず第一に年齢が違い過ぎます。貴女は僕に親愛を越えた感情を抱いているのかも知れません。しかし、僕には父性愛以上のモノを持つ事は出来ないでしょう」 嘘を吐く。騙しているのは彼女と、もう一人。自分自身の心。 騙されているのは、騙している本人が一番良く分かっている。でも、世の中には騙されて良い嘘が有る事を僕は知っている。 コレは、騙されても良い嘘。心すら、騙しても良い嘘。 「貴女が赤ん坊の頃から見てきましたので、こればかりは仕方がありません」 呟く。少女がゆっくりと顔を上げた。 「古泉さん……女子高生に興味は有りませんか?」 「ぶふっ!?」 むせた。 「な……何を言い出すんですか、貴女は!?」 「女子高生とか、幼な妻とか。そういった言葉に男性は弱いからそこをアピールしていくべきだと、お母さんから教わりました」 ……ハルヒさん……何を実の娘に教えているんですか。 「えっと……僕が今の貴女に手を出したら犯罪だという事は分かりますか?」 「後一年で解禁だという事も理解しています」 「……そうですか」 結論から言うと。僕自身に迫っているこの状況は、これまで僕が経験した中で最大級の非常事態でした。 迫っている……少女に迫られている訳ですから? ええ、上手い言い回しをしても現状がピクリとも動かない、むしろ悪い方向に進むばかりなのは理解していますよ。 ハルヒさんを相手にしていた昔の彼は、こんな気分だったのでしょうか。 「ですから、後一年我慢して下さい」 赤い顔をして頭を下げる少女。 「僕が貴女の感情を受け入れる事を前提に話をしないで下さい……。その前提からして間違っていますので」 こんな時でさえコーヒーが無駄に美味しいのが憎らしい。 「さっき言いましたよね? 古泉さんに私以外を好きになる事が出来るとは到底思えません、って」 少女がカップに口付ける。ふっくらとした唇が濡れて、朝露を含んだ薔薇を僕に連想させた。 「なんででしょう。予感よりももっと……確信に近い部分でそう考えています。ですので、私の言っている事は間違っていませんよ」 小刻みに動く形の良い薄紅に見惚れる。僕は二十二も歳の離れた少女に心を奪われていた。 「それとも、私以外を好きになれると本気で思っていますか?」 反論なんて、出る筈も無く。 なるほど。これが神に選ばれる、という事ですか。 彼女以外を好きになる事なんて、どこをどう間違った所で出来そうにも無い。 それを認められないのは理性で。認めているのは感情。 理性と感情を秤に掛けた時に、どちらが沈むかなんて火を見るよりも明らかでした。 例え彼女の言っている事が真実であったとしても、このまま流されるのは非常に危険です。ここは嘘でも何でも、否定しておくべきでしょう。 脳細胞を総動員して言葉を捜す。 「根拠も無い言い掛かりは止めましょうか」 「言い掛かり?」 「はい。散々言ったでしょう。僕は貴女に親愛以上の情を持つ事は有りません、と」 男として最悪の台詞だと、分かっています。しかし、彼女にはきっと……僕よりも年頃も似合いの男性が現れる筈で。 ここで彼女の想いを、受け入れる訳にはいきません。 僕は、彼女の「父親」ですから。血の繋がりは無くとも。たとえ一方通行な思い込みであろうとも。 だから……ならなんで、こんな「当然」の覚悟をするのに、奥歯を噛み締めなければならない? 「……私は嫌です」 搾り出すように少女が声を上げる。 「何がでしょう?」 「古泉さんの隣に私以外が居る事が」 彼女は顔を上げた。泣いていた。大粒の瞳に大粒の涙を浮かべて。泣いていた。 「古泉さんの隣に私以外の女性が居る事が。手を繋いで歩いている事が。笑い合っている事が。将来を誓い合う事が」 少女はきっ、と僕を見た。まるで噛み付くように睨んだ。 「私は絶対に嫌です」 声のトーンこそ変わらなかったけれど、それは叫び。 心の底からの叫び声でした。 「悩み、相談、よろず請け負います」 そう看板を掲げていたあの頃と、変わらない僕らには……僕にはそれを無視する事なんて出来る訳も無かった。 僕らは、大人になっても……今でも「SOS団」だったから。 誰かが勇気を出して振り絞る「SOS」なら、絶対に見過ごす訳にはいかない。もし、そんな事をしてみたら。僕は「SOS団」から弾かれてしまうでしょう。 少なくとも自責の念から、僕は皆の隣に立っていられなくなりそうで。 ……ねぇ、キョン君。許して頂けますか? この少女を愛する事を。君の宝物を譲り受ける事を。 僕の全身全霊を懸けて、しあわせにしてみせますから。 だから……僕はそろそろ自分の感情に素直になっても良いですか? ……ねぇ、親友? 『しょうがねぇな。そんかし、絶対にしあわせにしろよ』 そんな声が、聞こえた気がした。 「私には貴方以外に考えられな……」 「もう、良いんですよ」 僕は少女の言葉を遮った。立ち上がる。ゆっくりと彼女の背後に回る。 「貴女の想いは伝わりましたから」 緊張からか、体をすくめている少女。背中が、肩が小刻みに震えている。 「だから、もう良いんです」 僕は少女の背後に腰を下ろすとその肩を抱いた。 震えが強くなる。それをたしなめる様にゆっくりと小さな体躯に体重を掛けていく。 「わたっ……私はっ……古泉さんが私を実は嫌いなんじゃないか、って」 「いいえ。大好きですよ」 「父親と娘、としかっ……それだけとしかっ……思われていないんじゃないか、って」 「否定はしません。ですが、それだけではありませんね。出来ればずっと父親でいたかったのですが」 「わ……私の醜い思い込みなんじゃないか、って」 「貴女はとても可愛いです。自信を持って下さい」 「私……のっ、感情を強制しているだけなんじゃないか、って」 「そんな事はありません。貴女の言った通りですよ。僕は貴女の為に産まれてきたと、半ば本気で思っていますから」 「独占欲強くて……わがままで。意固地で……卑怯で。いつも古泉さんがどんな風に考えるかを計算しながら振舞って」 「はい」 「こうやって弱い部分を見せているのだって、貴方に想って欲しいからで!」 「……それで良いんですよ」 「……え?」 「それで良いんです。だって、貴女は女の子なんですから」 「女の子?」 「ええ。……僕の可愛い、女の子ですから」 肩の震えは止まる気配が無い。どころか段々と大きくなって。少女の声にしゃくりあげる音が混じり、前に回した腕に液体を感じて、彼女がこぼれる程に泣いている事を知る。 「適当に泣き止んで下さいね……貴女を泣かした事がキョン君やハルヒさんに知れると僕が怒られますので」 無論、冗談です。こんな状況で事後処理を本気で考えるほど、自分でも野暮ではない心算ですから。 「……無理です。泣き止めません」 彼女がどんな表情をしているのかは後ろから抱き留める僕には分かりませんでした。しかし、泣き顔なんて誰しも見られたくは無いものでしょう。 「嬉しくて、涙が止まりません」 震える声で少女は言った、その言葉を皮切りに小さなワンルームに嗚咽が満ちて。 僕は愛しい娘が泣き止むまで、何も言わずにその気高い心を抱き締めていた。 これもきっと「規定事項」。 「古泉さん」 「なんでしょう?」 「キス、して下さい」 「後、一年待って貰えますか?」 少女は大きな瞳に涙を溜めたまま、大輪咲きの向日葵の様に笑った。 「これからは……たまにで良いです。こうやって娘としてじゃなくて、一人の女の子として見て下さい」 「無理です」 耳元で呟く。少女がはっとして振り向いて。吐息が横顔に掛かる距離。 「娘として見るのは、ね」 それが僕の本心。きっと貴女に会えた最初から。娘となんて思えてなかった。 そう思い込もうとする事で、彼女を女性と見る事から逃げ続けていた。 けれど、もう逃げてはいけないのでしょう。 コレがこの世界の規定事項なら。僕はソレを受け入れよう。 この柔らかい運命を、受け入れて前へ進みましょう。 「さっきまでは、まるで逆の事を言ってらっしゃいます」 少女が笑って。そして細く白いおとがいを僅かに上向けると目を瞑った。本日三度目。……何を期待されているのかは分かりますが、それは却下と言った筈です。 「嘘吐きには罰が必要です……よね?」 「確かに、罰が必要です。が……」 少女の唇に指を二本当てる。うっとりとそれに唇を重ねる少女。唇の感触に頭が焦げそうになる。指でコレならば、唇同士ならばどうなってしまうのだろう。 知ってみたい。でも、それは取っておきたくもある。 彼女をこの両手に抱く事に罪悪感を覚えなくなる、その時まで。 時間が必要なのは、実は僕の方なのだと知る。 「それは僕にとって罰ではありませんので、辞退させて頂く事にします」 そう言葉を継いで。少女が目を見開く。自分の口に当たっている物が指だと気付いて、眉頭を上げる。 その姿にハルヒさんを重ねる事は、もう、無かった。 「折角ですから『それ』は、またの機会に取っておきましょう」 これでもかと顔を真っ赤にする少女に、ハルヒさんを重ねる事は、もう、無かった。 「遅かれ早かれ、こうなる事は決まっていたんでしょうか……」 換気扇の下で煙草を喫(ス)いながら呟く。いつもはテーブルで服(ノ)んでいますが、少女に伏流煙を吸わせる訳にはいきませんので仕方なく場所を変えます。 「何を一人で呟いていらっしゃるんです?」 リビングで座っている少女が僕に声を掛ける。僕は少し考えて、そして返答した。 「貴女が産まれた時の事を思い出していました。……貴女の名前は、僕が付けたんですよ。ご存知でしたか?」 「いえ、初耳です。てっきりお母さんが付けたんだとばっかり思っていました」 確かに、ハルヒさんが他人に娘の名前を任せるなんて発想はそうそう出て来ないでしょうね。 「産まれてくる子の性別を僕だけが当てましたので、そのご褒美だそうです」 煙草を灰皿に押し付けて揉み消す。 「僕の名前はご存知ですね。貴女にとっての唯一安らげる宿り木であれば良い。そう考えて……貴女の名前を付けさせて頂きました」 換気扇のスイッチを切る。カラカラと、動力を失ったそれが回って、やがて止まる。静まり返る室内に少女が喉を鳴らす音が聞こえた。 「思えば、その時から僕は貴女の唯一である事を望んでいたのでしょう」 自嘲気味に笑う。けれどそれは清々しいものだった。 「迷惑でしたか、『小鳥(コトリ)』さん?」 僕の大切な少女が小さな頭をぶんぶんと振って。その仕草はまるで彼女が持つ名前通りの―― やがて、時節は巡る。 小鳥はその中で綺麗に成長していって。 宿り木はそれを見守っていくのを一番の楽しみに、葉を付けましょう。 ああ。未来がとても、とても楽しみでなりません。 少女を自宅まで送り届けた夜、僕とキョン君はリビングで酒を酌み交わしていました。多少、アルコールで酩酊しながらも、キョン君へと今日一番の話を切り出す。 「娘さんを僕に下さい」 「寝言は寝て言え」 「そう言うと思ってました」 酔った頭で僕らは笑った。高く声を上げて。その様をキッチンからハルヒさんがうんざりと見ています。 「年ばっかり取って、中身は子供のダメ息子を二人いっぺんにを持った母親の気分だわ……」 言って溜息を吐いていらっしゃいますが……少しだけ楽しそうに見えるのは僕の気のせいですか? 「……で……マジか?」 「エラく……マジです」 「小鳥は? アイツは何て言ってた?」 爆笑から真剣な表情へとグラデーションするキョン君の顔が面白くて、笑いを堪えるのに内心必死でした。しかし、そんな事をすれば明日、腫れた顔で出社する事にもなりかねません。 出来る限り真剣な表情を作って……アルコールの所為でしょう。上手く出来ずに頬が引きつっているのが自分でも分かります。 「察するに余り有ると考えますが」 僕の台詞に頭を抱えるキョン君。良かった、笑いそうになっていたのはバレていないようです。キョン君も大分酔っているのでしょう。 ……今の彼の途方に暮れた姿も大分面白いのですが、我慢しなければいけませんね。 「二十二離れてんだぞ?」 「ですよねぇ。本人曰く『幼な妻』らしいですが」 「限度ってモンが有るだろ。後、誰だ。アイツにそんな馬鹿な単語を教えたヤ……いや、大体想像が付くか。長門かハルヒの二択しかねぇ」 「あはは、良い迷惑ですよ」 ジロリとキョン君が僕を見据える。……そんな仕草は小鳥さんそっくりですが、これも遺伝でしょうか。 「俺の娘の好意が迷惑、だと?」 「そんな事は言っていません。キョン君、かなり酔ってるでしょう」 「おう。こんな話、素面で聞けると思うか」 「無理だと思います」 口では憎まれ口を叩きながらも、しかしキョン君はどこか楽しそうで。なんだかんだ言っても、この人とハルヒさんは似た者夫婦なんでしょうね。 「アイツがお前に惚れてるのは知ってたが……しかしなぁ」 グラスの中の氷が溶け出して硬質な音を立てる。 「これでもお前の自制を期待してたんだが?」 「女神が本気になってしまったら、どうしようも出来ないという事でしょうか。いや、失礼。冗談めかして言う話ではありませんね」 口に含む。ウイスキーは甘く、芳しく、苦い。まるで恋を溶かし込んだ様な液体で。 「……でも、キョン君は僕の感情を知っていたでしょう?」 「ああ。だから、多分……お前らは上手くいくんだろうな、とは思っていた。非常に腹の立つ話だけどな」 「しあわせにします」 「当たり前だ」 キョン君が言う。 「貴方の宝物を奪っていく男です」 「一生恨むぞ」 僕の友達が言う。 「……ごめんなさい」 「そうじゃねぇだろ。お前が口にするのは謝罪じゃ、ない筈だ」 それは僕の最高の親友が今、口に出せる内で最大級の祝福の言葉。 「……ありがとう。僕の為に彼女をこの世界に送り出してくれて」 「お前の為じゃない。……でも、まぁ、その言葉だけは受け取っておいてやる」 「ありがとう」 「「どういたしまして」」 正面からキョン君、背中からハルヒさんの声が重なって僕に降った。 優しい運命に涙をこぼすのは……まぁ、今夜だけはアルコールの所為にしても構わないのではないでしょうか? 「……まったく、アイツにも『古泉だけは止めておけ』って言っておいたんだがな」 キョン君が溜息を吐く。でも、心が理性で縛れるようなモノじゃない事を、誰より彼は知っている筈で。 「酷い話ですね。しかしまぁ、僕の方こそ良いんですか? って感じではありますが」 年の差はいかんともし難いとは僕と彼との共通の見解で。どうしましょうかね、どうすっかなぁ、と僕らはちびりグラスに口を付ける。 「なぁに言ってんのよ! 愛が有れば年の差なんて、どうって事無いモンなのよ?」 言ったのはハルヒさんでした。テーブルに肴を満載したお盆を下ろしながら、にっこりと笑う。 「ハイ、けしかけたお前が言うな」 キョン君がポテトフライに右手を伸ばしながら、グラスを置いて空いている左手でハルヒさんの髪に触れた。 彼と彼女。僕の友人達は今日もまた、しあわせそうで。 「……本当に僕で良いんでしょうか」 こんな風に、僕もなれたら。なれるだろうか、彼女と。そんな思いを口に出す。 「良い訳ねぇだろ」 彼がねめつける。その左手は愛しい人を撫で続けて。 「あら、アタシは大丈夫だと思うわよ!」 彼女はまるであの頃の侭の顔で笑っていた。 「……大体、お前らが本気だってんなら俺がどんだけ反対した所でどうしようもならんだろ」 「ありがとうございます」 「だからって反対してない訳じゃないからな。……お前もハルヒも、もう少しコモンセンスってモンを持て」 「しかしですね、お義父さん」 「誰が『お義父さん』だ! 誰が!」 僕の冗談にキョン君が本気で嫌そうな顔をする。ああ、こんな掛け合いがとても楽しい。 これからもずっとこの二人と、彼らの大切な娘さんと、生きていけるのかも知れない。そう思ったら自然と頬が緩んだ。 今、僕の顔に浮かんでいるのは見せ掛けじゃない。作り物じゃない。 ホンモノの微笑。くれたのは彼と彼女と、その二人の愛の結晶。 「失礼しました。キョン君。僕は僕の気持ちを伝えてしまったんですよ」 「ああ、自分の年齢も考慮せずに、な。取り敢えず死んで詫びろ」 キョン君のそれは半分本音でしょうね。……死ぬ、か。彼女の気持ちが自分に向いていると分かった時に少しだけ、考えた選択肢です。 責任が取れるのならば「彼女の前から消える」くらいの措置は取れなくも無いかもと。勿論、今となってはお断りですが。 「そんな事をすれば恐らく……世界改変が起こりますよ」 ハルヒさんが台所に立った隙を見計らって、キョン君に耳打ちする。彼は、僕の言葉に面食らっていた。そして、ゆるゆると頭を抱える。 「僕には彼女を穏便に説得する事が出来そうに有りませんし……また、そんな事を言う気もありません」 「確かに、アイツの頑固さはハルヒ譲りだからな……」 「誰が頑固なのよ」 まるで僕等に内緒話をさせる為だけに席を離れたかの如く、すぐさま戻ってきたハルヒさんがキョン君を叩く。 「鏡でも見て来い」 頭をさすりながら、彼は呟いた。 「しっかし、古泉君が息子ねぇ……大歓迎なんだけど、後三年。あの子が二十歳になるまで待ってあげてね?」 「分かりました。では、三年後からお世話になります」 「ハルヒ、何言ってやがる! 古泉、お前も挨拶すんな!」 三者三様。僕らの談笑する夜は更けていく。明日は朝から仕事なのに。僕はこの時間が続く事を少しだけ望んでいる。 そして、それはキョン君とハルヒさんも同じなのかも知れない。二人とも、何も言わないけれど。それでも、笑っていて。 ハルヒさんがキョン君の首に腕を回したまま、僕に流し目をした。続けざまにウインク……ですか? さて、どんな意味を含ませた仕草なのでしょう? 「有希とみくるちゃんも息子二人に転んでるし……なんだろ。このままいくと……」 指を折って何かを数えている彼女も、大分酩酊しているのだろう。普段なら指など使わず暗算で二桁同士の掛け算が出来る人ですし。 「昔した願いが二十五年経って叶っちゃうわね」 「「え?」」 僕とキョン君の声が重なる。二人して顔を見合わせた。恐らく同じ事を考えているのでしょう。慌ててハルヒさんに詰め寄る。 「お、おい、ハルヒ!」 「そのお願い事を詳しく聞かせて頂けますか?」 「へ? 単純よ? 『みんなでずっと一緒に居られますように』って。昔の自分ながら恥ずかしい願い事だったわ、アレは」 ハルヒさんが真っ赤な顔で舌を出す。頬が上気しているのは先程から飲んでいるお酒の為も有るでしょうが……しかし、彼女が何を考えているのかは、この際後回しです。 「……それって……」 「……間違い有りませんね」 その場に居る男性二人は揃って頭を振った。 「「やれやれ」」 アルコールがやけに回っているのは、きっとしあわせで仕方が無いから。 「……この年になって、まだ規定事項が残ってたのかよ……」 ハルヒさんがトイレに向かったのを目で追いながら、キョン君が呟く。 「そのようですね。はは、どうやら僕達は最後まで女神の手の上のようですよ」 グラスを手の中で回す。揺れる氷がまるで賽の様。 ダイスは二十五年も前に彼女によって投げられていた。知らなかったのは僕達ばかり。でも、それは受け入れ難い真実などではありませんでした。 「笑えねぇ。まったく笑えねぇ冗談だ」 ただ、少しだけ釈然としないだけ。ですよね、キョン君? 「と、仰る割には楽しそうですよ」 「お前、陽が昇ったら眼科行ってこい」 僕達は笑った。こんな日々が続くのなら少女だった女神と、女神である少女の創った運命に乗せられていても良いと、心からそう思った。 「しかし、年の問題は結構深刻ですよ」 「まったくだ。お前、勃つのかよ」 「生々しいですね」 下ネタは酔っ払いの専売特許といった所でしょうか。 「そんな事言って、キョンだってまだまだ現役バリバ……何でも無いわ」 ハルヒさんが言って俯く。見事な自爆です。今にも頭から煙が上がってきそうなその顔は「茹蛸」という表現がピッタリきますね。 「……で、どうなんだ、古泉」 キョン君が僕に訊く。ああ、ハルヒさんの失言は無かった事にする心算ですね? 分かりました。 「一時期減衰していた頃も有りましたが、最近は中々暴れんボーイですよ」 「日本語で頼む」 うんざりと呟く彼。その様に笑いが込み上げてくる。 そんな僕をまじまじと見つめる……ん? ハルヒさん、僕の顔に何か付いていますか? 「そう言えば最近、古泉君血色良いわよね……ううん、血色と言うよりも若返ってるみたいな」 「そんなに褒められても何も出ませんよ」 言って右手を下ろして、そこに有った髪を反射的に撫でる。うん……誰の髪の毛ですか、この銀は……? 「……事実」 「うわっ! 長門、どっから涌いた!?」 ゆっくりと視線を下げた先に居たのは……頭を撫でられていたのは長門さんでした。神出鬼没とはまさにこの事です。 「玄関、開いてた」 彼女はそれだけ呟いて僕の隣に当然と座りました。正対したハルヒさんが嬉しそうに笑います。 「あら、いらっしゃい! っと、今、有希の分もお酒とおつまみ持ってくるわね!」 「気にしないで」 長門さんの言葉も聞かずに立ち上がってキッチンへと小走りで消えていくハルヒさん。キョン君は本当にかいがいしい奥さんを持ちましたね。 ……と、そうではなく。 「先ほどの『事実』と言うのは一体?」 ハルヒさんが席を離れたを良い事に、僕は長門さんへと問い掛ける。 「先程の彼女の言葉は真実。古泉一樹は若返っている」 「……マジかよ」 「本当」 いつも通りに抑揚の無い彼女の返答に家主が天を仰ぎます。しかし、その方向には天井しか有りませんし、途方に暮れたいのはむしろ僕の方ではありませんか、キョン君? 「なぜです?」 自分の身に起こっている出来事だというのに、どこか冷静なままで僕は長門さんに問い掛けていました。 「『少女』が原因。彼女は貴方に早く釣り合おうとした。だが、自分の時を早める訳にはいかなかった。なぜならば、どれだけ彼女自身の時間を進めて成長しても周囲からは年齢通りとして扱われるから」 それこそ、周囲の時間ごと操作しない限り、ですか。 「我が娘ながら考える事が突拍子も無いと言うか。とにかく俺は頭が痛い」 「ですから、僕の台詞です」 うんざりする僕らを置いて、長門さんが解説を続けました。 「そこで少女は相手の年齢を自分に近づけるという手段を取った、と考えられる」 「はは……なんか凄く想われてますね、僕」 苦笑いが吐息を伴ってこぼれる。そこに軽口が掛かった。 「良かったな、古泉。また一つ変態属性が増えたぞ」 「……実害は無いから別に良いのですが……しかし、釈然としないのは何故でしょう?」 「早めに諦めた方が良い。これは朝比奈みくる的に言う所の規定事項。実害が無いのに困惑する、その理由が私には分からない」 長門さんが首を傾げて。僕らは「取り敢えず」とグラスに残っていたウイスキーを一息にあおった。 揃って顔を俯ける。アルコールで床が揺れる。そこにチャイムの音が響いた。 「朝比奈さんかな」 キョン君が呟く。そうですね。このタイミング……十中八九間違いないでしょう。これでSOS団は全員勢揃いという訳です。 「彼女は仲間外れを嫌う」 長門さんが言う。そう、これもまた規定事項。 僕らはきっと、あの日の少女が望んだ通り、ずっと一緒に笑いあっていくのでしょうから。 目を開ける。視界一杯に映り込んできたのは少女の笑顔。 「起きましたか?」 少女がソファから立ち上がって僕に声を掛ける。その際にソファが歪んで彼女がそこに腰掛けていた事を知った。 「今……何時です?」 寝転んでいたソファから上半身を起こして少女に尋ねる。……毛布が掛かっていたのは、彼女の仕業でしょう。僕は久方振りの飲み会の後、倦怠感に身を任せて着替えもせずに突っ伏した筈ですから。 「四時くらいです」 少女は微笑んで僕の眼を見る。 「四時……ですか? それは……寝過ぎましたね」 幸いだったのはここが観測対象(今となっては形ばかりのものですが)の家だったことでしょうか。昨日は確かに飲み過ぎだったとは言え、目覚ましも掛けずに寝てしまうなんて我ながら何と言うか……。 「困ったものです」 溜息を吐く。 「何が困った事なんですか?」 少女が僕の上に掛かっていた毛布を丹念に畳みながら聞いてくる。 「いえ、仕事が夜からで良かったと思いまして」 勿論、嘘です。しかし、キョン君家族を監視するのも仕事の内だと少女に言う訳にもいきません。 「もしも仕事が朝からでしたら、森さんからどんな怒声を浴びせられていたか……危なかったです」 森さん、という単語に少女の眉がぴくりと動いた気がしますが、きっと気のせいでしょう。 「危なかったって?」 「いえ、だって寝過ぎでしょう。幾ら久方振りの再会とは言え、昼過ぎまで酔い潰れていたなんて……」 「昼過ぎ?」 少女が手を止めて僕を見つめる。不思議そうな顔。恐らく、僕も同じような顔をしているのだと容易に想像がつきます。そのまま数秒見つめあった後、彼女が何かに気付いたように、うんうんと一人頷いて。 「何に得心されていらっしゃるんですか?」 僕の問に少女はその細い腕をゆっくりと持ち上げる。指を差した先は……窓? 視線を向けて納得する。月を見て酒の肴としていた僕達がカーテンを閉めている訳も無く。 窓の外は真っ暗だった。 「えっと……もう一度現在の時刻を教えて頂けますか?」 振り向く首が中々回らない。呆然とし過ぎて神経が上手く繋がっていない様です。 「ですから、四時ですよ」 「十六時ですか?」 「いいえ、AM四時です」 少女が平然と回答する。ああ、なんだか頭痛がしてきました……。 「分かりました。未だ深夜な訳ですね。で……一体貴女はそんな時間に何をやっていらっしゃるのでしょう?」 うんざりと問い掛ける。 「古泉さんの寝顔を見ていました」 少女は悪びれずにそう言った。 「……僕の唇が湿っているのはなぜでしょうか?」 頭痛がする。ああ、今日は間違いなく二日酔いでしょう。 「一年後の分を一回だけ前払いして頂きましたので」 真夜中にそぐわない、晴れやかな笑顔で少女が笑った。 それは一生大事にしていきたいと想わせるに十分な、輝くばかりの笑顔だった。 そこから眼を背ける事は、きっともう無い。 「あなたのためにうまれてきた」 is closed.
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文系キャラ【ぶんけいきゃら】 主に文系パラメータを上げて登場するキャラクター、または文系パラメータを参照しているキャラクターのこと。 男性向けのシリーズにおいては、 『1』:如月未緒・・・物語のような恋愛を愛する、眼鏡を掛けていて大人しい文学少女 『2』:水無月琴子・・・日本文化を愛し、中途半端な西洋文化が大嫌いなツンデレ大和撫子 『2』:白雪美帆・・・現実逃避の癖がある、ロマンチストな文学少女 『3』:相沢ちとせ・・・英語と語学留学に興味がある、流行が大好きな元気少女 『4』:語堂つぐみ・・・口喧嘩無敗で読書をこよなく愛している、キレたら怖いツンデレ眼鏡っ娘 『4』:エリサ・D・鳴瀬・・・日本文化を愛し、剣道を得意とし、外国人の両親を持った金髪碧眼の日本人少女 このように、同じ文系キャラとはいえ6人とも性格はかなり違うが、相沢とエリサ以外は運動が苦手なところは共通している。 なお、白雪美帆の場合は、芸術を上げても登場する芸術キャラでもある。 エリサ・D・鳴瀬は部活こそ剣道部だが、芸術と運動以外にも文系が高ければ登場するので、文系キャラとも言えるだろう。 (ちなみに文系80以上、芸術と運動は60以上あれば登場する) 一応、一文字茜も理系パラメータがある程度必要だが、文系を上げれば登場する上に彼女自身も文系パラメータを参照しているので、文系キャラに該当するだろう。 ちなみに、女性向けのGSシリーズでは、文系と理系が統合して「学力」となっているのだが、『GS1』の有沢志穂は髪の毛の色こそ緑色ではないが、運動が苦手な文学少女というキャラクターのため、攻略キャラではないものの、守村桜弥同様に如月の後継キャラと言えるだろう。 関連項目 キャラ別特性 理系キャラ 学力キャラ
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以下は、http //changi.2ch.net/test/read.cgi/doujin/1244369451/l50から引用 【詐欺?】鵜長点と一派たち【ズボラ?】 25 :有頂天 2009/06/11(木) 01 07 05 ID y57xgKol0 24 儲にもランク付けしてるような人達だから 通販しかしない儲は最低ランクだからどうでもいいと思ってる悪寒 コスプレイヤーの中で一番になると晴れて名誉ある売り子をさせていただけるらしいよ 27 :詐欺? 2009/06/11(木) 23 17 49 ID R3AF5HGK0 25 同じ話をしていたヤシがいたな。 男性向けではそれが常識、有頂天も同様に儲をランク付けしている、 と自分は聞いたんだが、そいつが言っていた“男性向けの常識”のソースは不明。 男性向けに詳しいヤシ誰かいないか。 30 :鵜 2009/06/12(金) 01 20 42 ID bMzAxvfYO 25 自分は鵜本人が当然の様にそう話てるのを聞いたクチだ 男性向けに明るくないからそうなのかと思ってた。 実際今の売り子は元儲のコスプレイヤーだし 85 :有頂天 2009/06/25(木) 10 23 05 ID cRumagteO 内輪揉めも含めるに一票。メインは通販詐欺?と金銭トラブルで。 自カプは全体数が少ないからほのぼの仲良くやってたのに、こいつの女王様ごっこの厭離に目茶苦茶にされた身としては闇歴史にされたくない。 136 :有頂天 2009/08/04(火) 11 10 40 ID 8WWQeSeTO いや、夫婦は嘘だからw 有頂天はどっちも女。 旦那とか言ってる人はただの信者の男の人。 夫婦設定信じてる人いたんだ。あと、脳内で生き別れの姉が脳内でいて、リアルに姉様って呼んでる。 関係者に知り合いいるとか、商業の仕事も嘘だらけだよ。 あとこのスレage進行よろしく。 137 :うちょう 2009/08/04(火) 13 05 58 ID qXwygIGjO 関係者に知り合いいるとか、商業の仕事も嘘だらけだよ。 kwsk というかまさか2でこの人たちの名前を見るとは思わなかった。 代引きでスターターパック頼んだけど、だいたい6月過ぎ位には届いたはず。 その前に代引きで通販やった時も普通に届いたから ここの頒布物を買いたいときは代引きでやった方が無難かもね。 138 :有頂天 2009/08/04(火) 15 39 14 ID XBumE5H60 代引きを早く発送してくれるのは、発送すれば有頂天にお金が入ってくるからだよ。 私も本人が関係者と知り合いだと言っているのを聞いた。 商業誌のBL、TLの話を得意げにしていたけど、全く見かけない。 大体、相方が病気とかリハビリとか。 都合が悪くなったときの言い訳に良く言っていたのを思い出した。 139 :有頂天 2009/08/05(水) 00 29 24 ID Vf0Mc9LB0 普段は外国で暮らしてるって設定はどこいったんだwww 脳内姉も一度でいいから会ってみたいよwww 140 :有頂天 2009/08/05(水) 01 56 36 ID JRET4l9Y0 夫婦って嘘だったんだ?!知らなかった 相方ってそんな病弱設定なの? 以前サイトの日記で相方は高校時代から風邪なんて一度も引いたことないとか書いてた覚えがあるんだが… だから今日は優しくしてあげる的なことを書いててうへぁwwwwwとなった記憶がある。 取材で外国飛び回ってるっていうのも嘘なのかな。 同人作家ってそんなに大変なのかーと素人なもんで信じてたよ。 何はともあれ詐欺られた人たち乙。夏コミで進展があることを祈る。 141 :有頂天 2009/08/05(水) 14 25 42 ID pm07EfDG0 病弱設定は藤堂のほうだよ。リハビリとか入院とかね。 外国で暮らしてるなんて嘘っぱち!!! 取材で外国とか…(笑)ありえませんよ。 有頂天ってどこまで嘘つきなんだろ。 お花畑の住人なのかしら? 妄想と現実の区別ついてないのかなぁ? そりゃ詐欺もするわなぁと思ってしまう。 詐欺られた人、本当に乙!! 頑張れ!!! 145 :有頂天 2009/08/06(木) 15 34 13 ID c9vYsTJAP 夫婦って嘘だったのか… 日記に同い年で若い頃に結婚したみたいなことが書いてあったが… 女性二人組みなの?本当は一人? ヴィーナシアン?とかいうサークルの人が実の姉と聞いてたが これは本当なの? もう何が本当なのか嘘なのか分からん あまりに虚言があるのは病気だぞ… 小額間漫画のエロ同人も出してたみたいだけど 呼び出されて罰金取られなかったのかね 146 :有頂天 2009/08/06(木) 17 12 26 ID jIHrHuHi0 女性2人組ですよ。 何を考えて夫婦とか言っているんだろうか。 ヴィーナシアンの人は実の姉でもなんでもない他人ですよ。 その人も有頂天の被害者みたいですね。 あと、いつも有頂天で売り子をしている方が夏コミ不参加と言っているらしいので、 有頂天は夏コミ不参加かもしれませんね。 154 :有頂天 2009/08/10(月) 11 45 41 ID wGvngtCK0 もう8年くらい前だけど、スピットのページでチャットルームがあった頃 鵜長点の二人とチャットの常連でオフ会をやったことがあったな 俺も行ったけど、外見的に藤堂のほうは肥えまくった眼鏡オバハンという感じで 幌のほうはスレンダーだけど背の低い美少女という感じだった。 あれから 8年経ってるから老化するなり成長するなりで変わってるかもしれんが サークルに突撃するつもりなら、売り子と言い張られてもこの情報で識別してみてちょ なお、肝心のオフ会のほうは、遠方から人が集まったというのに「これから仲間と飲むので」と 参加者を置き去りにして会場から消えて全員愕然としましたorz そして自分は2回ほど詐欺られてます、催促メールを送っても返ってこないし 155 :有頂天 2009/08/10(月) 11 50 32 ID wGvngtCK0 あと既出かもしれんが、幌のほうが家出少女で捜索願いが出ていて 藤堂のほうがかくまいながら住所を転々としてるって設定はまだ 有効ですか? 157 :有頂天 2009/08/10(月) 20 39 37 ID SS7+UsDr0 155 数ヶ月前にその話聞いたw>家出少女 住所は学生時代から同じところに住み続けてるって話だったけど 161 :有頂天 2009/08/11(火) 12 39 22 ID yIJqw3tDO 私も8年ほど前の有頂天チャットに出入りしてました(´・ω・`) 藤堂はチャットでもよく、幌は熊本から逃げてきた、私が助けなきゃいけない …とか、幌がSで私がMです、チャット中に幌が足の毛を抜いている…など、当時からそんな調子でした PSソフト『パンツァーバンデット』のキャラの衣装を豪快にパクッて、指摘されるや否やキャラ設定と衣装を変えたり、まぁそんな時代でした 結局あのサイトの通販は利用しなかったけど、寸借詐欺にまで手を染めていたとは… 179 :有頂天 2009/08/14(金) 13 45 26 ID mMlBEMlX0 既出かもしれんが、昔の鵜長点HPの通販申し込みフォームはコメントを 入れることができたんだが、鵜長点は昔自分のHPの掲示板やチャットで 迷惑かけた奴が申し込みフォームのコメントと一致したら、そいつらから 優先的に詐欺ってたって話。もちろん苦情は一切無視。 同様にチャットやオフ会で素性が知れてそいつが迷惑行為をしでかすと 通販で詐欺ってその後一切無視という話を聞いたことがある 自分のサイトに迷惑かける奴は詐欺られて当然と思ってるフシがある 182 :有頂天 2009/08/15(土) 18 34 22 ID cLX8eHpDO 181 有頂天はそういうことに対しては徹底的に無視を決め込んでるからな… 証拠になるようなソースが実際にサイトに迷惑かけて詐欺られた人達の証言くらいしか無いんだよな その人達も既に五年以上前の人達だし 183 :有頂天 2009/08/16(日) 11 44 12 ID JfNuSQEW0 有頂天って、飲み会とかで一緒になると、179の話とかをベラベラしゃべったりしてる。 自分は被害者なの。ひどいことされてる!って感じで。 詐欺してるって知らなかったら、有頂天の話を信じるとこだったよ。 184 :有頂天 2009/08/16(日) 17 12 18 ID 1IuXT/5/O 183 そのひどいことというのも、BBS荒らされたりとか、チャットにグロ画像のリンク貼られたとか こんなことでいちいち目くじら立ててたら2chなんてとても見られませんよ的な 些細なこと。当時チャットに出入りしてたけど毎回愚痴こぼしてたよ 問題児に対する報復として詐欺行為をしていたとは今考えてもおかしな話 私の知ってる3D絵描きは酔った勢いでチャットにエロ画像のリンク貼ったら 当時申し込んでいた通販の申し込み代金根こそぎパクられたよ しかもそいつ、後からメールと郵便物の両方で謝罪文送ったらしいけど、結局反応はなく、申し込んだ本は未だに届いてないらしい 有頂天にしてみれば、『問題おこしてくれた、ラッキーwこれで本送らなくて済む』程度にしか見てなかったのかもね
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| f.`、 ,|. | j. . /ソ \ `、|. .i,、 ,i. . /´ ヽ-リト. j ,゙ ,/. / `ッ、ヽ. ´ //リ ,リ`、`l、. ,....,_____ /;/ ツ,|` 、 `'''''''''''´ ,/リツ r''j ` 、 " ,/|-, ,| i, ` 、___ ,/ .| |、 / | `、 .j h` 、 / .| `、_ ./ i `、 ,,,_ー/ | ∧___ /、 | ` 、__ ,,,ーー"´ / | / ヽ  ̄'i ノ | ヽ | `、`ヽ、,,,-"'' ̄ " | .| /,,ヽ C | |´ j /`、 | \ ` ̄ ゛゛```ーー、___ | | . |/、;,;;;;;;;;ヽ | j /;;;;ツヽ| | i \━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 姫と呼ばれる創世記のミュウによって生み出された始まりのポケモンの1体 ノーマルタイプの始祖 姫に一番振り回されていた 人型になってからは姫以外にも振り回されるようになったらしい
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/ / / ヽ `、 / / / ,ィ /l l | ヽ ;´ / /|/ .|/ .! /i ! l 丶 .i | |/ |/ | /| | i ゙ヽ i i / ´ ̄ ̄ ̄`'''' ´ ヽ| | .| 丶 | ,-リ | "疋; ソ` '`'-、_.i | | ヽ .| /-、', | , f テリ` / | i丶 .ソ、 l,.( _ リ、 | l .` /l /| i ,| \__ ヽ| , //|/ |/ リl | | ′ // l |リ ヽ ` ― - 、 // ,リ `、 `" /リ ,----亠--- 、_`.、 / // ̄ ̄⌒`ヽ` \ ` -、,_, ´. ,- ゙´  ̄ ̄>-、_ \ ` `-y. / / ∥ ./" \ \ z[]. / | ∥ / .ヽ `、 {|. { | ∥ .| `、__,-ー―`、 詳細不明 備考 頼れる情報屋(副業)の先輩。 Dランクに留まっている。
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持ち物 エプロン 三角巾 保冷剤または牛乳パックで1日以上凍らした氷 軍手 手ふく清潔なタオル ふきん ビニール袋 なべ(ゆでだこを買うならいらなくなるかも) 泡だて器 おたま ビニール手袋